「どないしたん?そんなとこで遠く眺めよって」 ボクはその丘の上に居る人に声をかけてみた 話しかける気なんてあらへんかった 「死神さん?」 そしてその人はボクの存在を知っとった 「コレまでに死神に会ったんか?」 「あってないよ」 「・・・ほな早いとこ送ったるわ」 ボクはいつもの様に仕事をしようとしていた 「...いいよ」 その子はそう言うと目を瞑った どうしてか、ボクは躊躇ったんや 未練残したる人が抵抗せーへんかったのは初めてやった 「切らないの?」 「切るんやないんや」 「?」 「斬魄刀の柄の裏をつこうて額に当てんねん」 ボクがそう教えよったらその人は笑いよった 「そっか。じゃー、痛くないね」 「・・・」 「どうしたの?」 ボクは刀を収めた 「出来へんわ。ボク、市丸ギンや。…名前なんて言うん?」 「」 「か、エエ名前やな」 「ありがとう」 「せやな、一緒に探したるわ。成仏できるように」 「ありがとう」 の顔がパーッと明るくなった 「(これでええんやな)以前の一番思い出深い場所とかあらへん?好きな人のとこやとか」 「う〜ん…」 は少し困った 「?」 「・・・」 ボクと目が合わんようにうつむきはった 「私ね外に出たことなかったんだ」 ボクは驚いた 容姿からして23〜24歳くらいやろ? 「何歳なん?」 「23」 「そりゃーエロー若いな〜。何で外に出たことあらへんのや」 「私病気がちで外出るときは病院行くときだけだったから」 「そうなん・・・行こうか」 「どこに?」 「ボクこう見えてもこの町に詳しいんやで?」 初めて会った人だが、には笑っていて欲しかった 「ありがとう。市丸さんって何歳?」 「忘れてもうたわ。呼び方ギンでええで」 「そっかー…なんか凄いよアレ!大きいな〜」 が見ていたのは〇ジテレビの建物だった 「あれはTV局や」 「へ〜、大きな建物なんだね」 「せや、東京タワー見せたるわ」 「ホント!?」 「ボクは嘘吐かへんよ」 近くのバス停から人に混ざりバスへと乗り込む。 もちろん二人の姿を見ることが出来る人物はいない。 運転手も同様二人に気付くことはない。 「ただで乗れるんだね」 「そうやで!乗り放題」 「バスに乗ったの初めて」 「そうなん?」 「救急車なら何回か乗ったことあるんだけどね」 「そっちの方が凄いわ」 何だかんだで目的地へと着く。 は下から東京タワーを見上げた。 その大きさに感動していた。 「一番上まで行こうや」 「そうだね」 上まで行くと、景色を楽しむ。 そこから見える景色は最高に綺麗だった。 「何か疲れたね」 「あそこで休めるで」 二人は用意されている椅子に腰掛ける。 「今日はありがとう」 「べつにエエよ。楽しめはった?」 「うん!!凄く楽しかった」 夜になると、あたりはカップルで賑わっていた。 「ギンは戻らなくていいの?お仕事あるんでしょ?」 ギンは少し痛いところを突かれた。 書類が少し残っていたのだ。 だが、このままを一人にもして置きたくない それに自分自身の傍に居たかった。 「もう終わってはるから大丈夫やで(イヅルなら終わっとるやろ)」 「そうなんだ。でも、彼女さん待ってるんじゃないの?」 「彼女はおらへんよ」 「嘘!?」 「嘘ついてどないなんねん」 「いや…意外だったもので…」 そんな驚いた顔も可愛かった。 そう思えたのもギンがに心を奪われているという証拠 「ギン?」 少しの間の顔をじっと見ていたギンにはどうしたのか心配になる。 「何や?」 「今何を考えてたの?」 「知らんわ」 「知らないわけないじゃん!教えてよ」 「そりゃ無理やわ」 「ケチー」 「ボクはケチやないで」 「じゃー教えてよ」 「せやねー…」 「?」 「ボクな死神なんや」 「知ってるよ」 ギンの誤魔化しには頬を膨らました 「ほな、ボクからへ質問や」 「何?」 「は彼氏おらんの?」 ”いる”と言われたらどないしよう… 何で聞いたんかわからへんけど、確認したかったんや 「いないよ」 はあっさりとそう答えた。 「会う人なんて全然いなかったから。私学校にも通ってなかったからね。勉強は全部家庭教師の先生任せ」 少し悲しい目をした それを見てギンはの小さな体を抱きしめた。 「ギン!?」 そりゃ、驚くわな… 急に横におった男が意味もなく抱き寄るんやから… 「、体冷えてるな」 「冷え性だからかな?」 「そうなん?せやったら、ボクが温めたるわ」 ギンは少しだけ力を入れて抱きしめる。 「あったかい…」 「そうやろ!」 ピッピッ 「?」 「!」 「どうしたの?」 「仕事先からや...直ぐに戻るから待っててくれへん?」 「うん、待ってる」 「解錠…」 ギンはそういうと、扉のようなものが現れ、その中に消える その日、ギンはの元に戻ってくることはなかった。 翌日... 「(…私寝てたんだ)」 近くの時計を見ると朝の8時をまわっていた。 「(ギン…いない。やっぱり忙しいんだよね、きっと……なのに私の為に…)」 正午をまわってもギンは姿を現さなかった。 もう来ないってわかってた でも、私はここから動けずにいた。 ギンが来るって信じてたから... 夜になっても来る気配はない。 24時になるかならないかの時、後ろから自分の名前が呼ばれた気がした。 私は立ち上がって後ろを振り返った。 でも、そこには誰の姿もない 居て欲しかった... 昨日みたく抱きしめて欲しかった 優しく…強く…ギュッっと... 「ギン…」 と呟くと、後ろから温もりを感じた 昨日と同じギンの温かさが伝わる。 「何や?」 私は聞き覚えのある少しなまった声が耳元でした。 それはどこか申し訳なさそうだった。 ボクは一日ぶりにに会うた 一日しか経ってへんのに、懐かしかった… 愛しかった 「ごめんな」 「大丈夫」 「いないかと思うてたわ」 「来る...って信じてたから、来てくれて嬉しい」 「ボクもや。がおってくれて嬉かった」 はギンの方を向く 少し涙目だったが、うれしいのか笑っていた。 「あのね」 「何や?」 ボクは抱いていた手をそっと外した。 「私来ないんじゃないかと思ってたかもしれないの…ごめんね」 「ええよ。ボクかて待っててくれへん思てたから、お互い様やろ」 「それとね」 「何やの?」 ギンは優しく聞き返す。 「私、ギンを見ると胸が痛いの…抱かれてると安心するんだけど、心臓がドキドキして体が熱くなって…」 「ボクもや…同じやで」 「こんな気持ち初めて」 は照れくさそうにそう言う。 「?」 ボクに呼ばれたは顔を上げて、ボクを見よった。 ギンはにキスを落とす が苦しゅうならんようすぐに放す の顔は真っ赤で...りんごの様だった 「イヤやった?」 「嫌じゃないよ。初めてだから…驚いただけ」 「初めてだったん?通りで甘くておいしかったで!」 「……ギン!?」 「どないしたん?」 「手が…」 の体は段々と透けていった。 「…」 「これが成仏なの?」 「せやね」 「…そっか。また、会えるよね?」 「当たり前やろ。直ぐ会いにいったるわ」 「ありがとう」 は満面の笑みを見せて消えた。 「…を探さなアカンな」 ギンは尸魂界に戻りを探すため流魂街を数日かけて探した。 〜オマケ〜 「…」 「ギン!?」 「覚えててくれたんやね」 「当たり前だよ…ギン…大好きだよ」 「ボクもや…」 |
2008/03/05