「ねぇ」
 「あぁ?」
 「何でこんなに優しくしてくれるの?私死神だよ?しかもあんた虚なんでしょ?」
 「テメーだって同じなんだろーがよ」
 「私が?」
 「あんたは死神なのに死にそうな虚を助けた。そのまま放置しておけば敵が一匹減ったのによぉ」
 「一匹とか言っちゃダメだよ。それに、一護は悪い人じゃない気するんだ」
 「…お人よしだな。このまま俺はあんたを殺せるんだぜ?」
 「絶対殺さないよ!それに今私の耳から手どいたら、頭突きお見舞いするから、夜露死苦!!」
 「…はぁっ!あんたぜってー、頭可笑しいぜ」
 「いいよ変で...容赦なく切り捨てるくらいなら...」

















雷も雨も止んだ後、一護は鈴の耳から手を放す







 「オイ」
 
 「…..zZZ」
 「・・・。」













鈴は一護にしがみ付いたまま寝ていた。
こんなことをされたのは始めてだった。
いつも、街の人からは気持ち悪がられ、相手にもしてくれなかった。
彼女なんて一度も出来たこともなかったし、ましてや、女という生物とここまで対等に話したこともなかった。
どうしていいかわからなかったが、悪い気はしなかった。
そのため、そのまま時間を潰すことにした。

鈴が目を覚ましたのは数時間後...












 「…ふわぁ〜…おはよう」
 「…」
 「わぁっ!ごめんね!!寝ちゃったみたいだね」
 「…別にいいぜ。気にすんな」
 「アレ?もう傷治ってる!!凄いね!!!」
 「…普通だぜ」
 「うらやましいや。私は治るの遅いんだよね〜。なんか他のことに霊圧使っちゃって...」
 「他って…何してやがんだ?」
 「えっ?うんとね、上司の好物食べて追いかけられたから瞬歩で逃げたり?」
 「…」









こんな奴でも死神になれるんだな
と、あそこの学院の制度に関心した一護だった。










 「あぁ!!!ヤバイ…ピンチだ…」
 「どうかしたのかよ」
 「いや、何て言うかね…私仕事が普通に残ってるんだよ…
  しかも、コレって属に言うサボりにはいるわけですよ。
  …ってなるとだよ、私は上司に怒られる――――!!!」
 「…絶対バカだな」
 「ありがとうね!!あとさ、あんた流魂街に住んでるんだよね?」
 「そうだぜ」
 「今度遊びに行くからさ、街案内してよ!最近全然行ってないからさ」
 「…」
 「ダメ?」
 「…わかったよ。さっさと行けよ、怒られるんじゃねーのかよ」
 「そうだった!本当にありがとうね!!そしたらまた、会いに行くから、ヨロシクね〜」












鈴は瞬歩を使って隊舎へと戻った。
洞窟に残った一護は鈴に抱きつかれていた感覚が抜けきっておらず、自分の手をじっと見ていた。








礼…言わねーといけねーか…
会いに行く...? 来るわけねーよな。








一護は今日の夢のような鈴との出会いは忘れることにした。
これだけを覚えていてもただ辛くなるからだ。
またいつもの日常に戻れば、一護は流魂街の人から嫌がられる...そう思ったからだ。































隊舎へと戻った鈴は抜き足差し足で執務室に戻ろうとしていた。













 「よぉ!鈴…」
 「…ιど、どうも阿散井副隊長殿…」
 「テメーいつまでほっつきあるいてんだ?!」
 「ごっ、ごめんなさいィィィ!!」
 「あっ?お前その傷」
 「あっ、コレは虚と戦った時に」
 「このドジ。その虚が毒持ってたらどうした!?なんで要請しなかった!!」
 「そんな暇なかったっていうか…なんていうか…」
 「取り敢えず、四番隊行くぞ」
 「大丈夫ですよ!!」
 「いいから、来い」
 「大丈夫です…って…」
 「おい、鈴!?」


















次に私が気付いたとき…
その時私が目にした物は恋次さんのド・アップでした(苦笑)












 「うおぉ!!!!!!」
 「なっ!?」
 「お前急に目開けんじゃねー!!」
 「人の顔見て驚くなんて失礼ですよ!!」
 「オメーがぶっ倒れるから悪いんだろ?#」
 「それは!…」
 「あっ?何かあったか?」
 「恋次さんを信頼していいますよ」
 「お、おぅ」
 「私実は...」









鈴は先程起きた出来事を話始めた。
虚の人のことも、そして、洞窟で寝てしまったことも...












 「お前虚を助けたのか!?」
 「声大きいですよ」
 「ワリ…、んでその虚って」
 「悪い人じゃないんですよ。だから退治しようなんて思わないでくださいね」
 「そりゃ、お前を助けてくれたみてーだしな。被害報告もねーし」
 「よかった。雷なったから死ぬかと思ったんですけど、その人のお陰で生き延びれました!」
 「いや、鳴っただけで死ぬ奴見たことねーから...。んで、その洞窟で寝てサボってたんだな...
  待て...お前寝たって…まさか…」
 「へっ?怖くてですね、抱きついたまま眠っちゃってたみたいですね」
 「何にも無かったんだよな!?」
 「何もって?」
 「いや、いい」






鈴のその態度からすると何もなかったんだと俺は察した。
コイツそういうのは鈍いからな...









 「あっ!でもですね」
 「なっ!!!やっぱり何かあったんだな!?」
 「何かあったって程じゃないんですけど、私の耳押さえてくれましたよ。音聞こえないように」
 「んだよ…紛らわしいんだよ」















俺にとって鈴は妹のようなもんだった。
一つ下の鈴は幼馴染
何かあると俺のところに来て助けを求める、そんなカワイイとこがある。
だから、そんなカワイイ妹を男に、ましてや虚なんかに渡さない、そんな義務が俺には架せられている。













 「今度、流魂街の街案内してもらうことになってるんですけど、恋次さんも来ます?」
 「いかねーよ」
 「なんだぁ」
 「俺はお前みたく簡単に非番とれねーんだよ」
 「別にしょっちゅう非番取ってないですよ!!いっつも恋次さんに古稀使われているのを知ってくださってる
  朽木隊長が、「休暇を要した方がいいのではないか?」って言ってくれるんです」
 「…(なんだ…この差別は…。明らかに副隊長である筈の俺の方が毎日忙しく、しかもコイツみたくサボってるわけ
  でもねー俺が、こんなに非番取れねーで悩んでるっていうのに、コイツは隊長自ら休めって言われてんのか!?
  朽木隊長、あんたいつからロリコンになったんですか!?)」















鈴は一日大事を取り休むことにした。






 「なんか、大人しくしてるのって苦手だな〜」
 「鈴、入るぞ」
 「はい!(朽木隊長がお見舞いに来るとは思わなかった…)」







鈴は布団から起き上がる。







 「寝ておれ」
 「はい」




鈴は再び布団の中へと入っていく。
白哉は鈴の枕元に土産の品を置く


 
 「これでも食べれば元気になろう…」
 「ありがとうございます!!」













さすが朽木隊長!!
って…この膨大な量のフルーツは何でしょう?
コレ全て私に食べろと?
そうあなたはおっしゃるのですか!?
もちろん私家族というものおりませんのよ、
しかも、言うの虚しいけど彼氏すらおらんとです。
つまり私家に一人なんですよ…
その一人暮らしの女にこんだけの量のフルーツを食べろとうことは、
一週間、一日三食フルーツ生活堪能しろ!とでも言うんですかー!?
メロンとかさ、しかもマスクメロンだから高くて普段買えないけどさー
食べきれないよ…。














 「昨日の虚の件は見事だった…」
 「はい、勿体無いお言葉です(私じゃないんだけどね…)」
 「だが、無理をするのは宜しくはない」
 「はい」
 「早く、治すと良い」
 「はい、ありがとうございました」











白哉はそう言うと病室から出て行った。
そのあと直ぐに、恋次が入ってきた。










 「よっ!どうだ?調子」
 「普通ですね」
 「お前もう仕事できんじゃねーのか?」
 「そりゃ問題なく!!」
 「書類...持ってきてやろうか?」







ニヤッっと恋次は笑った。







 「ゴホゴホ…やっぱり無理です…」
 「たくっ、ホラよ」
 「あっ、ありがとうございます!!まさか恋次さんから見舞い品がくるとは思ってませんでした!!」
 「あぁ?いらねーのか?」
 「いりますよ!!」
 「つーか…なんだこの果物の山は…ι」
 「アハハハ…朽木隊長が置いて行って下さいました!!ってことで、恋次さん少しいりません?」
 「貰っていいのか?」
 「いや、流石にこれだけの果物食べ切れませんよ」
 「だよな。俺でも無理だぜ」
 「好きなの持ってってくださいよ」
 「んじゃ、ちょっと貰ってくな」
 「はーい」











恋次は山積みになっている果物のなかから数個持つ。












 「仕事頑張ってくださいね」
 「おめーは完治させて、さっさと仕事復帰しろよ」
 「はーい」












恋次も見舞いを終え、再び鈴一人の部屋になった。






 「やっぱ暇だな…そうだ!この果物持って、一護のとこに行こうっと♪
  何してるかな〜…ってかどこにいるんだろ?あの霊圧辿れば簡単か…」













鈴は果物を沢山持って、病室から抜け出した。
向かう先は流魂街の黒埼一護宅…











 

 

2008/03/06