「…じゃー、どうしてあんたはそんなに人を信用できるんだよ!」
 「だって、嘘ついてる風に見えないし。それにさ、人から信用されたいんだったら、
  自分がまず相手を信じないと信じて貰えないと思うんだよね」
 「…わかんねーよ」
 「私が嘘付いてると思う?もし、私が一護のこと嫌いだったら一緒に散策なんて絶対しないし
  それに、今頃瀞霊廷に報告してあんたを退治してると思う」
 「…やっぱりテメーも俺が怖いんじゃねーのかよ」
 「怖くない。ほら」








鈴は一護の手を取ってみる。
その行動に一護はビクッっと手を引っ込めた。










 「それ、かなりショックなんですけど...」
 「…」
 「まっ、いいや。ちょっとさ、橋の下で一休みしよ?川綺麗だしさ」










鈴は橋を渡りきると、横の方へ進み草むらに行くとそこに腰をかけた。
一護は数歩後ろから鈴の後をついて行き、少し離れて腰を降ろす。







 「もうちょっと寄ろうよ」





鈴はそう言うと苦笑し、鈴が一護に近づいた。
一護は、地面に着いている鈴の手を見ていた。



 「んっ?どうかした?」
 「なんでもねーよ」
 「そう?」



鈴が自分から視線を外すと再び、鈴の手を見た。
自分が触って本当に拒否しないのかどうか考え、少しずつ鈴の手に自分の手を近づける。
触れるか触れないかで動きを止める。
触って嫌がられたらどうしよう
再びそんな考えが浮かんだ。
しかし、恐る恐る触ることにした。
鈴の手の甲に、一護の手の平が静かに重なる。
力を入れているかどうかわからない程度に力を入れて鈴の手を上から握る。
すると、鈴の手からは一護が入れた力よりも強く握り返した。
そして、鈴は一護の方を振り向くとニカッ、と笑う。









 「一護手冷たいよ!」
 「テメーがあついだけだろうよ」
 「いや、私はいたって普通だよ」





鈴は両手で一護の左手を握った。






 「これで暖かくなるよ!」
 「...あんた恥ずかしくねーのかよ」
 「えっ?」
 「こんなことして」
 「恥ずかしくないけど?だってよくしてもらったんだ。手が冷たいときに。
  だから今度は私がする番!」







鈴と一護は川辺で話をしていた。
といっても、鈴が殆ど喋るかたちなのだが...
そんな時、子供が泣く声がしてきた。












 
 「どこだろう?」
 「あそこじゃねーのか?」







一護は右側の川沿いに立つ一本の木の下で子供を見つけた。





 「ほんとだ!行こう」
 「はぁっ!?…(わかってんのかよコイツ…)」







そこに向かう二人。
そこには女の子が一人木の下で泣いていた。








 「どうしたの?」
 「グスン...あのね、風船木に引っかかったの」
 「そっか、じゃー今あのお兄ちゃんが取ってくれるからね」






鈴と少女は一護の方を見る。
にこやかにしている鈴と、一護を見て余計に泣き鈴お後ろに隠れてしまう少女




 「一護、取ってきて」
 「はぁっ?風船くらい」
 「早く!」




鈴に急かされ仕方なく木の上へと行き風船を取って、下へと降りる。
その風船を鈴へと渡そうとした一護は、鈴に少女に直接渡してと言い渡された。








 「お姉ちゃん...その人といたらダメだよ。殺されちゃうよ」
 「大丈夫だよ。確かにおっかない顔してるけど、凄く優しいんだよ。ほら、風船取ってきてくれたでしょ?」
 「…テメーが渡した方がいいだろうよ」
 「駄目。一護が渡さなきゃ。取ったの一護でしょ?」
 「テメーが取れって言ったんだぜ。だから俺は取っただけだ」
 「いいからいいから」




鈴は自分の後ろに隠れている少女を前に出し、風船を受け取るように促す。




 「一護、あんたがビクついてどうすんの」
 「うるせー」
 「ほら、受け取って」




一護は手を少女の前に出す。
少女は恐る恐る一護の手から受け取ると、走って遠くに行く。
少し離れたところから少女は一護に向かって、
「ありがとう、お兄ちゃん!!」と叫んだ。








 「良かったじゃん」
 「…」
 「そろそろ帰らないとヤバイかな。今度さ新しく出来た遊園地にいかない?」
 「何で俺を誘う。他の奴と行った方が楽しいんじゃねーのかよ」
 「好きだから誘ってるんだけど...」
 「バカだろ。元辿ると敵だぜ?」
 「好きになるのに敵とか味方とか関係ないよ。好きだから一護のことをもっとよく知りたいって思っちゃ駄目なの?」
 「…俺を好き?」
 「…そう///」
 「わけわかんねーよ...」
 「だから、あんたが一人で悩んでたりすると嫌だし、浮かない顔してるのも嫌」
 「俺は...」
 「あっ、別に悩まなくていいよ!!悩んでもらう為に言ったわけじゃないし。嫌いなら嫌いでもいいし。
  もう帰らなきゃ...副隊長にどやされるか、どうかがかかってるからさ」
 「おい」








鈴は一護に手を引かれた。
そのまま腕の中にスッポリと納まる。






 「…」
 「一護?」
 「…好きだって言ってんだよ」
 「うん!」





鈴も一護の背中に腕を回す。




 「嬉しい」
 
 「…お前変な奴だな」
 「どこが!?」
 「俺を好きなんだろ?」
 「何で一護が好きで変なの?」
 「いやなんでもねーよ」
 「変なの。今度遊園地行こうね」
 「あぁ…」
 「それじゃ、私はそろそろ行かなくては...死んでしまいます」
 「気ぃつけろよ」
 「一護もね!」












鈴は瞬歩を使って病室へと戻った。














悪くはねー
あいつが好きで、あいつも俺が好き...
こんな感情は初めてだ...
あいつとなら一緒にいてもいいと思えた









 

 

2008/03/06