鈴は誰にもバレないように忍び足で病室に戻ることにした。 おっしゃ!! 誰もいない! ってことは私が抜け出したことに気付いてないってことだよね〜♪ やっぱり私って忍者なのかな? 「さ〜てと、」 「何する気だ?」 「・・・(滝汗)」 鈴は恐る恐る後ろを振り向いてみる。 そこにはドス黒いオーラを放ちたっている副隊長の姿…があった 「おっ、お元気ですか?副隊長...」 「あぁ、元気だ。元気がありあまって今無償にテメーをぶん殴りてーくらいだ」 「そっ、それは宜しくないかと思いましてよ、オホホホホ...」 「このバカ!!大人しく寝てろって言っただろ!!」 私はこの方にとっても大きな雷を落とされました。 まっ、当然といえば当然なのだろうケド... ただ暇で抜け出したカワイイ部下にそこまで怒らなくてもいいだろうと そう思うのは私だけかな? 「どうせ昨日の虚のとこ行ってたんだろ?」 「どうしてわかるんですか!?」 「お前が行きそうなとこはだいたいわかるぜ」 「その虚、一護って言うんですよ。流魂街に住んでるんですけど、他の人と見た目違うから 皆に怖がられてるみたいで。ずっと嫌われてたみたいで人を信用できなくなってるみたいなんです...」 「んで、お前はその虚をどうしたいんだよ」 「どうしたいってことはないんですけどね。凄くいい人なんですよ?」 「…」 「無愛想で口も悪いけど、本当は優しいんです...」 「お前さ...好きなのか?その虚のこと」 「…恋次さん」 「冗談だろ」 「…」 「止めとけ…アイツのためにもお前のためにもな...って言いてーとこだけど、 んなこといって聞く性質じゃねーだろ?」 「恋次さん...」 「他の誰かが信じてやらねーならお前が信じてやりゃいいじゃねーか」 「やっぱり恋次さん大好きですよ!!」 「おまっ!?」 鈴は勢いで抱きつき、直ぐに放した。 「たくっ、明日から仕事ちゃんとしろよ」 「はい、了解です!」 「そういや、書類溜まってんだよな〜、お前の」 「・・・。」 「冗談だよ。やっといてやったよ」 「本当ですか!?」 「今度タイヤキ買って来いな」 「わかりました」 「そういや、明日特別任務があるらしいな」 「特別任務!私、書類よりそっちの方がいいんですけど!!」 「明日隊長とこに行って来いよ」 「はーい」 「んじゃ、ちゃんと治せよ」 「おやすみなさい」 翌日、すっかりと良くなった鈴はいつものように隊舎に行った。 そして、特別任務をさせてもらえるよう、朽木隊長の部屋に行き許可が下りたため恋次に報告をしに言った。 「おはようございます!」 「おぅ」 「許可おりましたよ!」 「よかったじゃねーか」 「はい。やっぱり私書類整理より実践のほうが向いてるんですよ!」 「書類は全然駄目だけどな。腕だけはそこらの奴よりいいからな」 「何ですか?その全然駄目って」 「そう言われたくなきゃ、真面目に書類整理くらいしろな」 「はい...。行ってきますね」 「おぅ、気をつけろな」 鈴は斬魄刀を手に取ると隊舎を出る。 向かうさきは流魂街の外れ 一護は家の中でソファーに座り鈴のことを考えていた。 今日は来ねーんだな… あいつも忙しいみてーだから仕方ねー 正午過ぎ… そろそろ帰ってきていい筈の鈴が未だに戻らない六番隊隊舎 恋次は少し心配していた。 「(あいつ大丈夫かよ?やっぱり病み上がりにはキツかったんじゃねーのか?)」 恋次は心配になり立ち上がった。 しかし、特別任務は任務対象者以外は仕事内容及び地区すら教えては貰えない。 それに、隊首会が行われている今、唯一その場所をしっている隊長がココにはいなかった。 もしかしたら、一護という奴の家にいるかもしれないと思い 流魂街に住んでいる虚の気配を探すことにした。 そいつを探すのには苦労はしなかった。 異様なまでに大きな霊圧... 解らないほうが可笑しいだろう。 取り敢えずそこの家の戸を叩く。 暫くすると一人の人が出てきた。 「誰だあんた」 「ここに鈴来てねーか?」 「鈴が?いねーよ」 「鈴がどこにいるか知らねーか?」 「知らねーな。…鈴に何かようなのかよ」 「俺はあいつの上司だ。お前のことは鈴から聞いてる。今日アイツは特別任務に行ってんだ。 そろそろ戻って来てもいい筈なのに戻ってこねーんだよ。だからお前のとこに行ってるんじゃねーかと 思ったんだけどよ...ハズレだったみてーだな。手間取らせて悪いな」 恋次は他のところを探そうと行こうとした。 「待ちやがれ」 「あっ?」 「俺が探しに行くぜ。あんたは戻って待ってな」 「はぁっ!?」 「探してる間に戻ってくるかもしれねーだろうがよ」 「…頼む」 一護は恋次の前から消え、鈴を探しに行った。 あいつが言ってることがわかるかもな... スゲー態度ワリーけど... 鈴…何処にいやがる... 何もなければそれで良い... 一護は尸魂界中を探し回った。 そこで、鈴がいることに気付く。 彼女は血を流していた。 虚の姿はもうなかったが、鈴はその場に倒れこんだ。 「鈴!」 「…一護…なんでココに?」 「しゃべんじゃねーよ…」 一護は瀞霊廷に向かって走った。 「...初めて...名前呼んでくれたね...」 「…シャべんな!!…名前ならいつでも呼んでやるよ」 「…ありがとう…」 「鈴!」 一護は瀞霊廷に着いた。 しかし、その門を潜ることは許されていない。 「クソッ...」 「…鈴!」 「早くコイツを」 恋次は鈴を受け取ると中へと消える。 その際一言一護に「サンキュー」と言った。 暫く、一護はそこに腰掛けて待つことにした。 その時恋次が隣に来た。 「…」 「…」 「鈴なら心配いらねーよ」 「…」 「あんたには感謝してるよ」 一護はその場を立ち上がり、来た道を戻ろうとした。 恋次も立ち上がった。 「あんた虚なんだよな?」 「…だったら何だ?殺すか?」 「誰も殺さねーよ...俺はな。 よく聞けよ。鈴を思うなら鈴の前から消えろ。アイツに近づくな」 「わけわかんねーよ。テメーに何か言われる筋合いねーんだよ!!」 「お前のためでもある。俺らとお前らは元々は敵同士だ。鈴に近づくってことは死神に近づくことになる。 あいつは優しいから外見で人を判断しねー。だがな、他の連中はちげーぜ。虚とわかったらテメーを殺す。 どんな理由があろうとな...。そして、虚がいたのに上に知らせなかった鈴には処分が下る。わかるな?」 「…」 「今回のことは礼を言う。だが、次会うときは敵だ...」 「…」 「じゃーな、見つからねーように、遠くに行けよ」 恋次は瀞霊廷の中へと消えた。 俺はもうあいつと居られねーのかよ… 死神と虚の違いって何なんだ… |
2008/03/06