クリスマス・イブ そして クリスマス 両方とも私はバイトが入っていた。 「いらっしゃいませ」 手を繋いでレジにくるカップル。 手を繋いで店内を見るカップル… 全てが羨ましい。 カップルじゃなくてもクリスマスに休みという事実が羨ましい。 皆楽しそうに商品を買って出て行く。 あぁ… 今年のクリスマスも一人だなぁ 寂しい… 大学一年のクリスマスがこれでいいのか!? と思ってもどうにもなんないし。 まぁいいや。 来年はいいことあるといいな と思いながら5時間お店で過ごす。 自分の中でのカウントダウン それは、イルミネーションの山場を見るのではなく、バイトが終わる時間のカウントダウン。 これほど寂しいものもない。 は定時になると、後始末をさっさと済ませ店を出る。 そして、携帯に目をやるとそこには一通の手紙。 どうせメルマガかなんかだろう、そう思って開いて見る。 あて先には見覚えのある名前。 "黒崎一護" …一体何のようだろう? クリスマスに... もしかして、アイツもバイトだったりして!? と一瞬そう思い軽く笑う そう思ったのは虚しかったのかもしれない。 『おぅ、元気か?』 ・・・一体なんなんだろう? 一護はいっつも用事あるときにしか私にメールをしてこない。 一護の用事から色々と話を繋げるのは私の役目(?) 『元気じゃないよ(苦笑』 と返信した。 いつもならココでメール切れるのになんか今日は... 『何かあったのか?』 『イブもクリスマスの日も私はバイトだったの』 『…お前休めよ』 『だって私以外に出れた人いないし。一護はバイトじゃないの?』 『俺は休んだ』 当たり前と言わんばかりの彼のメール そりゃそうだよね。 クリスマスにバイト入れてるのって大学生じゃ私くらい…かな? 返信する前に一護から次のメールが届いた。 『今から会えるか?』 『うん。でももう遅いけど家の人大丈夫?』 一護からの誘い…断るわけがなかった。 『あぁ。駅で待ってる』 『わかった』 空座町の駅…きっとカップルでいっぱいなのだろう。 想像はできた。 でも、一体なんの用事なんだろう? もしかして、ルキアと付き合ってそれの報告だったり…して そう思うと少し心が寂しくなった。 二人はお似合いだと思う。だけど、認めたくないよ。 そうだとしたら、私…ちゃんと喜んであげれるかな…? そうこう考えているうちに駅へと着いた。 そこには、少し寒そうに一護が壁によりかかって立っていた。 その隣にはルキアが腕を組んで立っている。 やっぱり…そうなんだ 私にとっては少し残酷なこの事実に涙が出そうになった。 あの隣にいるのが私だったらどれだけいいか... 考えても仕方ない。 一護が幸せならそれでいい、そう決めていたんだから 「おーい」 は少し離れたところから手を振る。 直ぐにそれに答えてくれたのはルキアだった。 一護は「おせーよ」といいながら近づいてくる。 「ごめんごめん。これでも急いで来たんだからね!!」 「わるかったな。バイト終わりで疲れてんのに」 一護は頭をかいた。 「別にいいよ。それで、何か用?」 「うむ、これから食事して映画でも観に行こうと思ってな!」 ルキアは楽しそうに言う。 そりゃそうか、初めてのデートだもんね。 嬉しいよね... てか、私ここに居ていいのかな… 「そんじゃ、行こうぜ」 「うん」 その時携帯の着信音がした。 「私だ」 と出たのはルキア。 少し電話で話したあと、ルキアはバチの悪い顔をして言う 「スマヌな。用事が出来てしまった。それじゃ、あとは二人で楽しんでくれ」 「えっ…ちょっ!?」 ルキアが手を振り駆け出していく。 その姿は次第に小さくなっていく。 「なんか、急がしそうだね」 「そうだな(たくっ、わざとらしいんだよ…)」 「行こっか」 「おぅ」 二人が入った店は大人の雰囲気だった。 「…ねぇ、ココ高いんじゃない?」 「そうでもねーだろ。オメーは気にすんなよ。俺が奢っから」 「いや、悪いよ!」 「いいんだよ。誘ったの俺の方だし」 二人はウェーターに導かれ席へと着く。 は注文表を受け取る。 そこには値段の書かれていないメニューがずらっとフランス語で並んでいた。 「…一護さん?…黒崎さん!!何ですかこのメニュー!!!!!」 「あっ?メニューはメニューだろ?」 「ここ絶対高いって」 はメニューを口にあて、一護にひっそりと言う 「だから、オメーは気にしないで食え」 そう言った一護の格好を見ると、スーツを着て決めていた。 一方私は…言うまでもないか… 「…私絶対浮いてる」 「はぁ?」 「だって、この店にあってない格好してるし」 「バカ。んなのどうでもいいだろ。さっさと頼めよ」 一護は苦笑いしてを見た。 「う〜ん...読めない」 「・・・」 「指でさせばいいだろ。すいません」 「はい」 「コレとコレお願いします。は?」 「コレ…と…コレお願いします」 「かしこまりました」 は挙動不審だった。 それもそうだ。 フランス料理店なんて始めてきた。 しかも、あたりを見渡してもカップル(セレブ)だらけ 落ち着くわけもなかった。 「何キョロキョロしてんだよ」 「えっ・・・いや、こんな格好できちゃったから…」 「あぁ、そうかもな」 そこはフォローしてよ!! 「でも、いいんじゃねーのか?お前らしいし」 「…(フォローなの・・・?)」 「それに、俺がよけりゃそれでいいんだよ」 「…(今…なんて?)」 「おっ、料理きたぜ。うまそうだな」 「うん」 うまくそらされた気がした。 出てきた料理はとても美味しそうな匂いをしていた。 実際食べて見ると凄くおいしかった。 「おいしい!」 「だろ?」 「ありがとう、一護」 「別に。クリスマスくらい祝ってやんねーと可哀想だし。バイト人間には」 「なっ!!」 でも凄く嬉しかった。 何よりもこうして一護と食事できることが一番嬉しい。 「ありがと」 そう言うと照れくさそうに頭をかく一護。 そんな一護を見ては笑う。 楽しい時間は過ぎ、11時近くになった。 「これから映画だっけ?」 「あぁ。でも、もうおせーからな。帰ろうぜ」 「私はいいよ」 「お前疲れてんだろ?」 「大丈夫!今日はバイト忙しくなかったから。クリスマスにコンビニなんて来る人もいないでしょ?」 「それもそうだな」 「いこ!!」 「って、お前家の人いいのかよ!?」 「うん、両親と妹は旅行に行ってていないんだなぁ」 「そっか。んじゃ行くか」 「何観ようか?」 「そうだな…お前みたいのとかあるか?」 「う〜ん…じゃーコレは?」 はテキトーに指す。 それは、サンタクロースの絵が描いてあった奴だった。 一護は説明を読む。 そこには、『ホラーサスペンス』の文字があった。 「やめた方がいいんじゃねーのか?お前…」 と横を見るとの姿はなく、彼女はチケット売り場でチケットを早速買っていた。 「はい、一護」 「サンキュー…って、だからお前人の話を!!」 というのも虚しく、は映画を見る準備としてポップコーンとジュースを買う(二人分) はルンルン気分だった。 というのも、こうしてクリスマスに一護と二人きりで映画を観れるということでだ。 嬉しそうに一護に話しかけるを見て、一護は「まぁ、いいか」と思った。 そんな二人を見ている二人の影があった。 「恋次!見えぬではないか」 「ルキア、俺たちも映画館に入るぞ」 「そうだな。映画とやらも見てみたいし丁度よいな」 そう言って、二人はチケットを購入すると、一護との様子を伺える席に座った。 薄暗い映画館の中… 「一護のヤロー何やってんだよ...さっさと告っちまえよ」 「バカ者。雰囲気というものがあるだろう」 「あぁ?映画始まっちまったらそんなもんねーだろ。 だから最初のこの薄暗くて静かな時に言わねーでどうすんだ?」 と少し大きい恋次の声。 それに まさか!? と振り向く一護。 ルキアは必死で恋次の頭を床にくっつけた。 「たわけ!!こんなところで大声出したらバレるではないか!!」 と声を押し殺して一喝した。 もう一方の二人はというと… 「どんな映画なんだろうね!!クリスマスにサンタクロースの映画なんてvV」 と、餌を必死でねだる犬みたいなそんな顔をされて言われたら ホラーサスペンス なんて言葉は言えないものである。 ましてや、クリスマスにサンタさんが犯人だなんて… 「(つーか、こいつ最後まで観れんのかよ?ホラー苦手とか言っときながら… ぜってーこいつ、サンタさんのホットな映画とか思い込んでやがんな)」 一護の不安は的中した。 映画開始そうそう、はビビりまくりだった。 「・・・。」 やっぱりな… 「大丈夫か?」 静かな声で俺は聞いた。 「う、うん」 涙目でそんなこと言われてもこれっぽっちも説得力がないもんで... 「帰ろうぜ?」 が楽しくないのに、こんなところに居ても意味がないとそう思った。 「大丈夫だよ」 と彼女の言葉を信じ…て… 中盤にもなると相当怖いものがあった。 俺でも流石に少し怖いと思った。 つーことは… やっぱな… 一護は片手を伸ばしの手を握った。 「コエーんだろ?」 「…うん…」 「こうしてろよ…」 一護はを自分の方に寄せた。 の視界は画面から一変、一護の胸元へと変わった。 「ワリーな...怖い思いさせて」 「いや…私が選んだんだし...」 「出ようぜ?」 「うん…」 二人は映画館から出て、近くの公園へと行った。 その頃、尾行していたルキア・阿散井ペアはというと… 「ふっ…俺はそんなんじゃおどろか…ギャー」 「恋次…静かにしろ。うるさくて映画もまともに観れんではないか」 「うるせー俺は怖がってなんかねー…」 と、怖がる恋次だった。 「ごめんね、せっかく映画に誘ってもらったのに」 「気にすんなよ…てか、まだ泣いてんのかよ!?」 「だって…今日怖くて寝れないよ」 「たくっ…」 「いち…ご?」 一護はそっとにハグをした。 「大丈夫だ…俺がいるから…」 「…うん」 一護はを放し、一呼吸置いた。 「お前に言わねーといけねーことあんだ」 「なに?」 「俺さ…お前のこと好きだ」 「えっ…と…わ、私!?」 「って、オメー以外にココに誰がいんだ?」 「いや…驚いたから…」 「…」 「ありがとう、一護。私も好きだよ」 はニッコリと笑った。 それに合わせて一護も笑う。 再び抱き合った二人。 あたりはイルミネーションで満ちている。 綺麗に二人を彩る そんな二人は唇が重なり、丁度12時の金が辺りに響いた。 |
あとがき |
クリスマスは過ぎてしまいましたが、ネタが降臨!! というわけで走り書きしました! もともと、バイト中に思いついたネタです。 恋次バージョンでもう一つあるんですが、それはまた後程… え〜、こんなことがあれば、クリスマス・イブ、クリスマス まぁ、そんなことありえませんが... ここまで読んで頂きありがとうございました☆ |
2008/03/06