「おはようさん」
 「…..zZZ」
 「…」






起きる気配のない我娘にむかい、ギンはいつもより不気味に笑った。










 「そないに僕に温めて欲しいん?」

 「…って、何してんだ!!コラァ!!!#」








は布団に侵入してきたギンを思いっきり蹴り飛ばす。
見事に溝にヒットしたギンはその場にしゃがみ込み痛さを耐えるかのように腹をかかえる。









 「な、何すんのや...」
 「そりゃこっちのセリフだよ!!」
 「そんなの決まってるやん。と布団の中で愛し合おうとしてんねん」
 「お前は実の娘に何さらそうとしてんだ!!#」
 「怒らんくてもええやん。それとも布団の中ってのがアカンかった? 愛に親子も年の差も関係あらへんわ」
 「いやいや、関係大有りですから...ι それに布団がどうって問題じゃないから」
 「しゃーない今日は観念しといたるわ。エエから早く支度しーや。今日父さん仕事休みなんやvVデート行こうなぁ〜」
 「しゃーないじゃなくて、一生変なことは考えんな! あのねあんたが休みでも、私は休みじゃないっての…。
  勝手に出かけてね」
 「そないな冷たいこと言わんといてぇ〜。父さん寂しゅうて死んでまう」
 「あんたはウサギか!?どうでもいいけど、出てって。着替えらんないから」
 「このまま着替えだらエエやん」
 「このド・エロ変態狐目め!!さっさと出てけ!!!」












はグイグイとギンを押し、部屋から出す。
ハァー
と一つ大きな溜め息をついて制服に着替える。
着替え終わって何時かと見てみると...








 「はっ、八時!?」








慌てて自分の部屋を飛び出てリビングへと向かう。










 「何で起してくれなかったの!?」
 「起したで?7時に。せやけど起きへんし、寝顔カワエエから写メとってたんや!!見はる?」
 「いらねーよ!!つーか、一時間もあんたは写メ撮ってたの!?」
 「ちゃうわ。写メ取り終わったからどないしよう?思ってたんやけど、このまま起すのももったいない思うて、
  色々考えてたんや」
 「…色々ってなんですか…」
 「聞きたいん?ほな、ベッド行こか?」
 「いいです。結構です。知りたくありません。何を娘で変なこと考えてんの」
 「だって、めっちゃカワエエんやもん。娘にしとくの勿体あらへんやろ?せやったら手付けた方利口やし」
 「利口じゃねーよ!!あんたの思考回路どうなってんの!?全く...」
 「エエの?」
 「何が?」
 「時間」
 「よくなーい!!」
 「送ってったろか?」
 「絶対ヤダ!!あんたが学校に来たら大変なことになるって相場が決まってる!それじゃー、行ってくるから!!」
 「帰りは真っ直ぐ帰ってくるんやで!!せや!いってきま〜すのチューは!!??」
 「そんなのいっつもしてないでしょ!!さも、毎朝してますって言い方するな!!!」











はドタバタしながら走って学校に行った。
いつもこうなのである...
寝坊する以外は。



あぁ〜、実の親がいるのが疲れるってどういうこと...
まっ、嫌いじゃないけどね。
変態でエロイけど...
何であぁなっちゃうんだろうな…
顔は普通より...ってかカッコイイって部類に入るし、
ルックスだってモデル並なのに...
なのに、どうしてあんなんなの!?








ギリギリセーフで教室に入る
隣の席の男子、阿散井恋次に褒められた、いや、貶された。










 「今日もギリギリセーフだな」
 「”も”って何!?”も”って!!私がギリギリセーフなんて滅多にないことでしょ!」
 「一ヶ月に一回くらいあんだろ?」
 「そのくらいじゃ”も”なんて使わない。珍しいっていいなさいよ」
 「間に合ってよかったな」
 「…そうだね」
 「…お前朝から何かあったのか?」
 「あったも何も…」
 「もしかして、お前の親父か?」
 「それしか原因はないからね」








恋次は苦笑した。
恋次は私が話しているためあのエロイ親父のことを全て知っている。
全てかどうかはわからないけど...











 「何か、今日休みらしくてさ」
 「へぇ〜、そんで何あった?」
 「朝起きたらさ人の布団に入ろうとしてるしさ、人の着替えを見ようとしてるし...もう疲れた...」
 「お前の親父さんもよくやるよな」
 「ホントだよ。娘に何を望んでるのかよくわかんない」
 「親父さん起してくれたのに遅刻しそうになったのか?」











恋次はふと疑問に思ったことを口にした。
するとの顔が余計に疲れた顔になった。











 「そうなんだよ...ソコ、可笑しいと思うでしょ?それがさ話によると、写メ撮って、何か色々想像してたんだって...」
 「想像って…お前の親父ツクヅクスゲーな」
 「恋次、私と家変われ!!」
 「何で命令形なんだよ..ぜってー、ヤダぜ!!!」










噂をすれば何とやら...
の父親がドアから顔を出す。











 「おる?」
 「!?なっ…」
 「、お弁当忘れたやろ?届けに来たで」








周りの女子は「キャーキャー」騒いでいた。

私の父さんは何故か世間体がいい...
他所の人からすれば、凄く良い人なのだろう...
だけら、私が家でどのようなことになっているかなんて知らないんだ...
知らないってどんなにいい事か...
知らないって罪だな、オイ







 「今日ボクが休みやったからエエけど、今後気ぃ付けなアカンよ?」
 「はいはい」
 「?」
 
 「!?」







恋次とギンは目があった。
恋次はビクリとした。





 「君、名前何て言うんや?」
 「阿散井ですけど...」
 「阿散井君?…のことよろしゅう頼むわ」
 「はぁ〜…」
 「ほな、ボクはもう帰るけど、頑張るんやで」
 「さっさと帰って下さい」
 「そんなに冷たいこと言わんといて。帰ったらユックリお話しとか色々遊ぼうなv」









ギンは手をヒラヒラさせながら教室から出て行った。
そのあとの教室はの父であるギンの話題だった。









 「ちゃんのお父さんだよね!?」
 「あ〜、うん」
 「カッコイイvV」
 「お仕事何してんの?」
 「ディレクター」
 「スゴーイ!!」
 「ちゃんのお父さん凄く若いね!!何歳?」
 「趣味ってなんなの?」
 「どこの高校出身?」
 
 「大学はどこ通ってたの?」
 「好きな女の子のタイプは?」











などと質問攻めに合い、静かになったのはHRが始まってからだった。
恋次がHRが終わりの方を見ると、魂が抜けたようにグッタリとしていた。








 「おーい、生きてるか?」
 「死んでるぅ゛ぅ゛ぅ゛...」
 「にしても、お前の親父さんスゲー人気だな」
 「外面だけはいいからね...家でもあんなんだったらいいのに」
 「実際お前が言ってるような人には見えねーけどな」
 「お前なー…いいか恋次、お前は騙されるな。いいな。あんなんに騙されてはいけない!!負けるな恋次ィ!!」
 「誰だよお前…ι」
 「ホント凄いんだって...ホントに...たまに殺意抱くくらいに…」
 「・・・。」
 「恋次、……あんた危険かも」







は先程ギンが恋次の名前を聞いていたことを思い出し言う。
その意味がわからない恋次の頭の上にはクエッションマークが浮かんだ。










 「危険?」
 「うん、危険」
 「何がどう危険なんだ?」
 「う〜ん...命の危機?」
 「ハァ?」
 「だって、父さんに名前聞かれたでしょ?」
 「あぁ」
 「小学生くらいの時に私の隣の席にいた男の子が名前聞かれてたことあるんだ。
  その子さある日突然私と口聞かなくなって、理由聞いたら...父さんが裏でちょっとね」
 「ちょっとってなんだよ」
 「ちょっとはちょっと。まー、そのあと私が父さんを……で、その子と元通り仲良く過ごしたんだけどね」
 「おい、その間なんだよι」
 「えっ?知りたいの?知りたいなら教えるけど...本当に聞く?後悔しない?」
 「聞かなくていい。お前の口からとんでもない言葉が出てきそうだからやめとく」
 「そう?あばら骨を2本折れたくらいで済んだだけなんだけどさ」
 「…」










それ軽くねーだろ!!
あばらってお前…
親父さんも苦労してんだな
てか、この親子どっこいどっこいじゃねーか?





俺はそう思った。








 

 

2008/03/05