「恋次ちょっといい店見つけたんだけど、寄ってく?」 「あっ?俺は別に良いけど、お前さっき親父さんに真っ直ぐ帰るように言われてなかったか?」 「あぁ…いいのいいの。すっごく美味しいデザートバイキングやってるんだよね〜」 「マジか!?タイヤキあるか!?」 「…タイヤキは……あるんじゃない?」 「よし、行くぞ!!」 放課後、はギンに真っ直ぐ帰るように言われたが、恋次とデザートバイキングに行くことにした。 学校を出ると、お目当てのところに真っ直ぐ向かう。 そんな頃、そうとは知らないギンは... 「せや!迎えに行ったろvVきっと喜んでホッペにチューしてくれるで〜*」 と、絶対にありえないような期待を胸に学校までを迎えに行くギン。 学校に着き、教室まで一直線に走るギン 「、迎えに来たでぇ!!」 と顔を出すもそこにはの姿はなかった。 「…知らへん?」 「ちゃんならさっき帰りましたよ。阿散井君と」 「…あの餓鬼…に何さらそうとしてんのや……」 ギンは殺気だてて、阿散井の席を睨んだ。 「待ってろや!!愛娘のピンチ、黙って見とる男やないで!!」 デザートバイキングを堪能中のと恋次はゴッソリとデザートを机に持ってきて食べていた。 そんな時、恋次は何故か背中に寒気が走った。 「どうした恋次?」 「…いや、今嫌な感じしなかったか?」 「嫌って?…例えば?」 「そうだな...殺気」 「まさか!恋次誰かに恨みでもかったの?」 「んなことしねーよ。……まさかお前の親父ってことねーだろうな?」 「私の父さん!?まさか(笑)」 「お前とデザートバイキング行ったこと知って俺を...」 「そりゃないでしょ!だって、放課後恋次に私から持ちかけた話をどうやって知るっていうの?」 「そうだよな...」 「ほら、食べようよ!!」 「おぅ」 恋次の勘はあながち外れてはいない。 ギンは血眼になって娘の消息を探しているのだから... 「スンマセン、この子知らへん?ボクの娘なんやけど...」 「さー」 「ほな、ありがとうさん…(何処行ったんや!!ボクの…。あのクソ餓鬼になんかされてはったら…)どこや、!!」 「お兄さん」 「?」 「さっきその子見かましたよ」 「ホンマ!?」 一人の老婦がギンに話掛けてきた。 「えぇ、確かそこの角曲がった喫茶店に彼氏といましたよ」 「彼氏やない!!」 「父親なら彼氏と上手くいくように願いなさい。それではの」 「せやから、その餓鬼は彼氏ちゃうねん!!」 ギンは取り敢えずそこへと急いだ。 見せの前に立ち中の様子を伺った。 「(…と仲ようしゃべるんわ…10億年早いわ…#)」 「結構食べたね」 「お前食いすぎなんだよ」 「だって、バイキングで食べないとお金もったいないじゃん!」 「人には限度ってもんあんだぞ」 「私の腹はまだ限界って言ってないし」 「どんな胃袋してんだよ」 「甘味系は別腹vV」 「太るぞ」 「いいんだよ。その変わりうちにはその分以上に体力を消耗せざる終えない動物飼ってるんだから」 「お前の家動物いたか?」 「いるじゃん。獣がさ…」 「…なるほどな」 は疲れた顔をして窓の外を見た。 そして、慌てて視線を外す。 「どうした?」 なっ、なんで父さんあんなとこにいんの!? しかも絶対私達に気付いてる…ι いや、別にこっちは悪いことしてないんだから堂々としてればいいんだ! ...阿散井、お前ピンチだぞ? 「ゆぅ〜っくり外を見てごらん」 「あっ?………!!!!!!!! どうすんだよ!!お前の親父さんじゃねーか!」 「さー、どうしようね」 「お前はいいとして...俺どうなんだよ...」 「明日あたり学校これれば、運がいいよ!!」 「待て、俺はお前に何もしてねーんだぞ?罪ねー人間に手出していいのかよ!!」 「それ私に言われても困るしね...そろそろ店出る?そのうち父さん不審者と間違われて警察沙汰になりそうだし...」 ギンの周りには少しだけ人だかりが出来ていた。 と恋次は嫌そうな顔をしてギンの前に現れた。 ギンは外に出てきたに抱きつこうと腕を広げて飛んでくる が、は軽く避けギンは電柱にしがみ付く形になった。 「…でっ、こんなとこで何してんのかな〜#」 「こっちのセリフや!!男と二人きりでこないな店入りおって...阿散井君言うた?」 「あっ、はい…」 「に何したん?の体奪ったんか?ボクかてまだしてへんのに」 「「当たり前だ!!」」 「そんで、のスリーサイズなんぼや!?」 と聞いた瞬間にはギンを瞬殺した。 「ゴホッ…」 本日二度目の溝打ちを喰らったギン... しかもそこは、今朝と全く同じ位置だった。 「…、流石にそれはイテーんじゃねーの?」 「いいのいいの。どうせ慣れてんだから」 「…父親に向かってなんてことすんねん…」 「あんたは娘に何てこと聞くのよ。どうでもいいけど…場所移ろうよ」 周りの人だかりが段々酷くなることに気付いたはそう言った。 そんなわけで、公園まで来たのだが… 「それでや、阿散井くんと何処までの関係なんや?」 「そんな関係じゃないっすよ」 「嘘吐いてもボクにはわかるんや」 「恋次ごめんね、父親がバカで」 「さっきから酷いことしか言わへんな」 「あんたに優しい言葉なんか言った日には付け上がって何しだすかわかったもんじゃないし」 「何しだすかわかるで?とエエことするだけやvV」 「だから…それは私にとってとっても良くない出来事になるんですよ...」 「には後でお仕置きせなアカンな...エエ声で鳴きやv」 「…やられる前に殺る……」 の顔が本気だったのはさて置き、恋次への尋問(?)が始まった。 「な〜、彼氏なん?」 「違いますよ」 「せやの?」 「「そうです」」 「チューとかしてへんの?」 「「してません!!」」 「ホンマになんもあらへんの?」 「「ありません」」 「何でまで答えはるの?」 「強調」 「まー、今日のとこはもうエエは。今後は気ィ付けや...手出したらホンマにあの世行ってもらうで?」 「…ι」 「娘の同級生脅迫してどうすんのよ…。そんなことしたら、父さんとは縁切るから」 「なっ!!どないして!?のこと心配してんやで!?」 「あんたの場合過剰なんだって。それに私なら大丈夫だから心配しないで、あんたは仕事を頑張りなさい!」 「無理や、ボクのこと大好きやもん」 「…私も好きだから、言うこと聞いてくれませんか?」 「好き言うならチューしてやチューvV」 「…さて、溝打ちそんなに気に入って貰えるなんて思いもしなかった...もう一発どうですか?」 はニコヤカにギンを見た。 の溝打ちの痛さを知るギンは一歩後ろに下がる。 「そろそろ、夕食の支度しなくていいの?」 「せやった!帰るで!!」 「私用あるから父さん作ってよ」 「一緒に作ろうや〜」 「娘は愛する父さんの手料理が食べたいな〜」 「…待っとき!!直ぐ作ったるわ!!……あんまり遅く帰ったらアカンよ?」 「はーい」 はギンの後ろ姿を見送ると、横にいた恋次に謝った。 「ホント、ごめん!!」 「別に気にしてねーよ。お前が苦労する理由がわかったぜ」 「でしょ?」 「でも、悪い親父さんじゃねーよ」 「…まーね。でも、限度ってもんがあるでしょ?」 「そうだけどな。愛されてるんじゃねーのか?」 「過剰過ぎて駄目なのさ…私には重過ぎる……」 「ずっと一緒にいると疲れるかもな」 「何なら一日変わってみる?」 「断る」 「即答しないでよ」 「お前の親父さんはお前しか扱えねーよ」 「確かに…」 「お前用事あったんじゃねーのか?」 「えっ?無いよ」 「嘘ついたのかよ!?」 「だって、家帰ったら夕食作らなきゃならないし。偶にはサボりたいでしょ?」 「そういや、毎晩作ってるんだっけ?」 「うん、母さんいないからね…」 「そっか。今度家に食いに来いよ。妹も喜ぶ」 「ありがとう」 「おぅ」 「今日はごめんね。そろそろ帰らないと怒られそうだし、それじゃ、また明日!」 「またな」 は走って家に帰る。 俺も反対側に向かって歩く。 確かあいつが7歳くらいの時に母さんが出て行ったって言ってたな... それ以上は聞いてねーし、聞く気もねーけど... |
2008/03/05