ゴンゴンゴンゴンゴン…


そんな騒音が窓から聞こえてきた。
寝ていた恋次は布団をガバッっと起し起き上がる。



 「(たくっ、こんな朝から誰だ…)」


面倒くさそうに頭をかいて、カーテンを開ける。
そこには見たことのある顔が映し出されていた。







 「うわぉっ!!!!!」


驚いている恋次に対し、一生懸命何かを伝えようと必死に口を動かしている。
恋次は取り敢えず窓を開けてやることにした。
窓を開けると、中に入ってくる









 「いやー、助かった」
 「何してんだよ!人の家で!!」
 「いや〜朝から色々ありましてな、一休みしようと思ってここに来たんだけど、寝てた?」
 「あたりめーだ!!つーか何で玄関から入ってこねーんだよ!!」
 「誰もいなかったみたいだからさ」
 「…いや、つーかどうやって登った?ここ二階だぞ!?」
 「横にある柿の木によじ登ってちょっと頑張った」
 「…俺もいなかったらどうすんだ?」
 「それはないかなって。カーテンしまってたし。ところでさ、今日は雪ちゃんとか君とかいないの?」
 「そういや、昨日出かけるって言ってたな」
 「そうなんだ」









は恋次のベッドに座った。
そして、なんとな〜くベットの下に手を入れてガサゴソしだした





 「何やってんだよ」
 「えっ?エロ本探しの旅?」
 「ねーよ」
 「ホントに?」
 「ねーよ」
 「…じゃ〜ココは!?」




ベッドのマットを持ち上げてみる。
するとそこにはDVDがあった。





 「あれれ〜恋次くん?コレな〜に」
 「テメー!!///」








DVDを取り返そうとする恋次にひょいと交わしそうさせない。
は裏を見る







 「ねー、こんなん見て面白いの?」
 「…別に面白くはねーよ///」
 「ふ〜ん」
 「お前よく平気だな」
 「小さいとき生で見ちゃったからさ…私」
 「…」
 「何やってるか全く理解できなかった...。聞かないの?誰と誰がとか?どんなんだった?とか」
 「覚えてんのかよ…」
 「そりゃ覚えてるよ...実の母のことはね」
 「でも、それ親父さんとだろ?」
 「だと思う?だったらきっと離婚なんてしてない」
 「見たのか…自分の母親と他の男が寝てるとこ…」
 「見た…私小学校一年生だったんだよ?覚えてないわけないじゃん。家に帰ってきたら父さんと母さんの寝室の
  ドア少しだけ開いてて、中で…」
 「もう言うな」
 「中で...抱き合ってた。母さんが私に気付くと呼び寄せて、『いい、このことはお父さんには内緒よ?』って…
  その日お父さんが帰ってきて、一緒にお風呂入った時に聞いちゃったんだ」
 「、やめろ」








このこと思い出して辛いのはお前だろ?
なのになんでそんなにたんたんと言えんだよ…
親の恥じ俺なんかに晒していいのかよ…










 「『どうして母さんは知らない人と家で寝てるの?』ってね」
 「おい、!!」
 「な〜んて、話があったら凄いよね!」
 「はぁっ?」
 「冗談」
 「テッメー!!」
 「ごめんごめん」










冗談…といった彼女の目はあながちそうではなかった。









 「痛いって!!叩くな!!」
 「オメーが冗談言うからだろ!?」
 「だからゴメンって!あんまり苛めるとDVDのことバラしてやるからな!!」
 「お前は小学生か!」





お前が言うと嘘だとは思えねーんだよ…
誰よりも辛い目に合ってるの俺は知ってるからよ。
心配なんだ...







 「ねー」
 「あっ?」
 「コレ見る?」
 「見ねーよ!」
 「なーんだ」
 「たくっ...」
 「恋次さ彼女とかいないの?」
 「いねーよ」
 「へー、じゃー女の子とか部屋に連れてこないの?」
 「いねーのに連れてくるわけねーだろ」
 「ですよねー」






何か…今日のコイツわけわかんねー








 「あのね」
 「あぁ?」
 「私の家に修兵来たんだよね」
 「あっそ……ちょっと待て!!」
 「下宿みたいな感じかな?」
 「マジか!?」
 「マジマジ」
 「どこで寝てんだよ」
 「いや、それがさどこで寝るのかな〜って昨日思ってたんだよ」
 「そりゃ、親父さんの部屋じゃねーのか?」
 「だと思うじゃん」
 「…まさか」
 「私の部屋で寝たんだけど、今日か」
 「まさか!!お前!?…」











恋次想像の世界をお楽しみ下さい...


コン
 コン

 【どうぞぉ〜】
 【よっ!】
 【修兵、どうかした?】
 【いや、俺寝るとこねーんだけど...】
 【あぁ…どうしよっか?】
 【俺、お前と寝たい】
 【えっ?】
 【お前が欲しい】
修兵がを抱きしめそのままベッドに押し倒す。
 【...修兵?】
 【俺、もう我慢できねー】
 【しゅっ……】














 「恋次ィィィ――――、生きてるかぁ〜?」
 「!!」



恋次はの肩に手を置く
急なことにはビクッという反応を示す



 「なっ、何…」
 「昨日修兵と寝た…のか?」
 
 「だから寝たって言ったじゃん」















恋次の世界へようこそ!
 【…】
 【ヤダ、修兵…】
 【…】
 【駄目だって…修兵…】
 【愛してる…】
 【私も…】













 「くそ――――!!!」
 「ちょっと…恋次、大丈夫?」
 「!!俺は認めねーぞ!!」
 「何を!?」
 「俺は…俺はお前が!」
 「あっ!そろそろ昼ごはん買って帰らなきゃ!!それじゃ、恋次お邪魔しました!!」





帰りくらい玄関から帰ればいいものを、ワザワザ窓から帰る
一人取り残された恋次は呆然とした後、再び布団に戻り、生気のない顔をしての名前を呼んでいたとか...







今日の昼は何買って行こうかな〜
牛丼?カツ丼?親子丼?
ん〜じゃー、ブタ丼かな!







はブタ丼を購入すると真っ直ぐ家に帰る。
家に帰ると、ギンの姿は無かった。




 「ただいま〜」
 「おかえり」
 「はい、昼飯」
 「サンキュー」
 「今日の晩御飯は何がいいかな〜」
 「昼飯時に晩飯の話か…ι」
 「だって、ギリギリになって決めると遅くなるでしょ?」
 「そうだけどよ...そうだ、食費とか宿泊費とか振り込んだ方いいか?」
 「えっ?いらないよ」
 「いや、そうもいかねーだろ」
 「いいのいいの。別に大したおもてなし出来るわけでもないし。それに人一人増えたところで何も変わんないって」
 「変わんだろ」
 「いいって。その代わり、家のこと手伝ってもらうから」
 「わりーな」
 「全然!修兵だって大変そうだしね。お互い様」















昼を食べ終わった二人は、物置にしていた部屋の掃除を始めた。
そこを修兵の部屋にするのだ。



 「しっかし、スゲー物だな」
 「全部父さんのなんだよね。使わないくせに大事そうに取ってあるから邪魔くさいんだよね






修兵が片付けをしていると、アルバムを発見した。
それを開いて見る










 「へ〜」
 「?」
 「アルバム」
 「あ〜、懐かしい」
 「これ、幼稚園の時のか?」
 「うん。お遊戯会で私、お姫様役でね。父さんがうるさくて」
 「だろうな…?」




修兵は次のページにいくと、写真の顔の部分がくり抜かれているのを見る。
その後数枚そういう写真があった。






 「コレ…」
 「ここに私の母さんが写ってた。けど...切り抜いっちゃった」
 「…そうか」
 「ねー、なんであんたの母さんと父さんってどうしたの?」
 「…知らねー」
 「知らないって」
 「知らねーよ」





修兵は少しイラっとした。






 「あんたさ、私の家庭のこと何で知ってんの?」
 「はぁ?」
 「昨日の夜、『私も母親いない』って言ったら『そうだったな』って言ったの覚えてる?」
 「…覚えてる」
 「何でそんなこと知ってるの?私は話してないし、父さんも話したとは思わない」
 「ギンさんから聞いた。お前には母親がいないって」
 「嘘でしょ?父さんは母さんの話をしない…離婚してから一度も」
 「母親の話しはしてねーぜ。ただには母親はおらへん、とだけ言ってた。他は何にも聞いちゃいねー」
 「…そっか。ごめん」
 「別に気にしてねーよ。早く片付け終わらせようぜ」
 「そうだね」









一生懸命やっても、物の凄さに二人だけでは一日では終わらない。
夕方になると夕食も作らないといけないということで、次の日まで延期することにした。




















 

 

2008/03/05