今日はひな祭り






私は、久々にお雛様を飾った。
そういえば、大人になってから飾ったことなかったな、と思った。







押入れから埃の被った箱を取り出し、まずは土台を作る。
8段の雛人形。
おばあちゃんの代からずっとあるこの雛人形。
どうやら、嫁入り道具らしい。









まずはお内裏様を飾る。
そして、女の子なら夢であろうお雛様を手にとると少し眺め微笑んだ。




















 「おい、何してんだ?」
 「あっ、冬獅郎」











彼とは幼馴染。
今でも仲が良い。













 「雛人形?」
 「うん、久しぶりに飾ってみようかなって思って」
 「ほんと、久々だな」











冬獅郎はの前に座り人形を掴むと箱から取り出す。
二人で雛人形を飾っていく。











は一番上の段を見て話し出す。

















 「ねぇ、覚えてる?」
 「あっ?」
 「三歳くらいに一緒にお雛様の前で写真撮ったの」
 「そういや、そういうこともあったな」
 




は押入れからアルバムを取り出す。








 「ほら!」
 「懐かしいな」
 「ほんと」
 「この写真…」








はクスクスと笑った。











 「冬獅郎がお雛様の格好して、私がお内裏様の格好して写真撮ったんだよね!
  冬獅郎渋い顔してるけど」
 「あたりめーだ。何で俺がお雛様なんだよ」
 「いいじゃん!似合ってるもん」
 「似合ってねーよ」












冬獅郎は次のページをめくる。
と、笑い出す彼。
何があるのかとが見る。












 「これ、冬獅郎が悪いんじゃん!!」





という写真はが寝ている間に悪戯書きをした冬獅郎が笑って映っているものだった。












 「冬獅郎油性ペンで描いたから消すの大変だったんだからね!」
 「小さいときなんて、油性・水性は気にしねーからな」
 「そういうもんだいじゃない!! 普通気持ちよさそうに寝てる人の顔になんて落書きしないよ」
 「楽しかったしいいじゃねーか」
 「私は楽しくないもん…」











アルバムを見終え、元の場所に戻そうとすると、一枚の写真が落ちた。













 「?」








冬獅郎がソレを拾う。















 「…」
 「アレ?落ちた?」











がしゃがんで見る。

















 「ソレ…」













写真の裏にの字で日付が入っていた。
『3月3日 ・冬獅郎 5才』













 「懐かしいな…」
 「そうだね」









































その写真は今から丁度20年前...





 【もぉ、ちゃんと飾ってよ!!】
 【わーってるよ...たくっ、めんどくせー】
 【何か言った?】
 【別に】









二人で雛人形を飾り初めて1時間、ようやく完成した。










 【何で3月3日に飾るんだよ】
 【えっ?だって、雛祭りって3月3日だよ?】
 【でもよ、直ぐ片付けなきゃいけねーだろ】
 【そうなの?】
 【ばあちゃんが、3月3日に片付けねないとお嫁に行くの遅れるって言ってたぜ】
 【えぇぇぇえ!?じゃー早く片付けなくちゃ!!」
 【って、今出したばかりじゃねーか】
 【だって、片付けないと私お嫁に行けなくなるもん】








少し泣きそうなの顔








 【お前が嫁に行けそうになかったら…俺がもらってやるよ】
 【ほんと!?】







少し恥ずかしそうに言う冬獅郎
そして、嬉しそうに笑う
 【私、冬獅郎のお嫁さんになる。約束だからね!】
 【あぁ】
 【記念写真撮ろうよ!!】








二人はお雛様の前に並ぶ。
そして...






 【ちゅっ】
 【何すんだ!?///】
 【約束だからね!】












































 「私が頬にキスしたときの、この驚いた冬獅郎の顔面白かったな〜」
 「…おもしろくねーよ」
 「でも...」
 「?」
 「あの日結局お雛さん終えなかったんだよね」
 「お前がもうちょっと飾っておきたいって言ったからな」
 「そのせいでもう、あれから20年も経っちゃった」










は苦笑いを浮かべた。













 「このままお嫁にいけなかったりしてな」
 「それ、笑えないよ(苦笑」
 「
 「んっ? …冬獅郎?」














冬獅郎はギュッとを抱きしめる。















 「結婚...してくれねーか?」
 「うん」




















二人はお雛様の前で口付けを交わした。








 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき
 
はーい、本日は雛祭りでございます!

って、私おひな様飾ってないんですがね...(オイ

置く場所もなくなったので飾れませんし。

でも、昔は飾って一緒に写真撮ったりしてましたよ!

ってこと思い出して書きました。


ここまで読んで頂きありがとうございました☆

 

最終更新日 2008/03/05