俺には婚約者がいた。 周りの奴には当然、婚約者なんていう人はいなかった。 そいつの名前は、 小さいときからzっと傍にいる。 そして、今も... 「いいよな〜、日番谷はよ」 「あ゛ぁ?」 「もう、結婚の相手いるんだろ」 「良くねーよ」 「「「キャー日番谷君!!!」」」 日番谷は女子に人気があるらしく、毎日のように取り囲まれる。 「これから遊びに行きませんか?」 その中の一人が日番谷を見て言った。 「…いいぜ」 「「「ホント――!ヤッター!!」」」 「...」 「はい」 日番谷はに鞄を渡した。 と日番谷は当然同じ寺子屋に通っていた。 登校するにも帰宅するにもいつも一緒だ。 当然同じ家に住んでいた。 「今日は飯いらえーから」 「わかりました。お早めに帰って下さいネ」 「…」 俺は何も言わずそのまま歩いて行った。 「冬獅郎様お気をつけて」 と聞こえたが、振り返らずに歩いた。 その日の夜、遅くなったこともあり、俺は三人の内一人を送ることになった。 「ねー、日番谷君ってちゃんのこと好きなの?」 「別にすきじゃねーよ」 俺としては、こう毎日一緒にいるのが嫌だった。 例え許婚者だとしても嫌だ。 「ここでいいか?」 「…少し上がって行かない?美味しいお菓子あるんだけど」 「…少しな」 俺は不本意にも上がってしまった。 玄関に入ると、戸が閉まり鍵を閉める音がした。 彼女が鍵をかけたのだった。 俺は後ろで何をしたのかと振り返ると、そのまま押し倒された。 「どけろ...」 「家に来るってことはこういうことでしょ?」 そいつは俺の帯を解こうとした。 「触んじゃねー」 日番谷は女を力づくでどけ、起き上がった。 扉の鍵を開け、外に出る。 「…俺に二度と近づくな」 と言うと、そのまま帰って行った。 もう、夜は遅かった。 俺が癒えに帰ると、そこには明かりが灯っていた。 玄関に入るとがそこに座って待っていた。 「おかえりなさいませ」 「…」 俺はスタスタと自室へと向かう。 俺が出かけて帰ってくるとはいつも俺を待って玄関にいる。 どうしてはわからねーけど... 自室に入ると、は着替えを渡す。 着替えを渡しは、押入れから布団を出し、きれいに敷いていく。 そんなを見ているうちに、俺は知らぬにを押し倒していた。 の表情は驚きと少し怖いといったものだった。 そして俺に伝わってきたものは...が少しだけ震えている...ということだった。 俺は黙っての上から避ける 自分を最悪だと思った。 先程自分がやられてどれだけいやだったか... ちうことを思い出したのだ。 「…どうかされました?」 優しい声では聞いた。 は日番谷の突然の行動に疑問を感じたのだった。 俺がの顔を見ると、は笑顔だった。 そして、またシーツの皺を綺麗に伸ばす。 「…怒らねーのかよ……」 「どうして怒るんですか?」 「嫌じゃなかったのかよ!!」 「…嫌じゃないと申しますと嘘になりますが、どちらかというと驚きました」 「悪かったな...」 「いえ......」 「!?」 の反応に俺は正直驚いた。 「私は、冬獅郎様のことずっと好きでした。冬獅郎様が嫌でも、私は冬獅郎様のいいなづけで本当に良かった と思っています...それと、私、父上に頼んでいいなづけをやめさせて頂くよう頼もうと思っております」 「何でだ!?」 「好きでもない相手と結婚するのは可笑しいと思うんですよ」 はそう言って笑うと、ゆっくりと立ち上がった。 「それでは、今まで本当にありがとうございました。…冬獅郎様のお幸せを心より祈っております」 俺は部屋から出て行こうとするの手を引いた。 「傍に…いてくれねーか?」 の言葉に俺の心がぽかんと穴が開いた気がした。 「…はい」 は満面の笑みでそう答えてくれた。 俺はそのままを引っ張り止せ抱きしめた。 「悪かったな...」 「いいえ、冬獅郎様こそ私なんかでよろしいんですか?」 「お前がいいんだよ…///」 は安心したかのように、俺を抱き返す。 翌日... 「おはようございます」 俺が起きると、それよりも早くは起きて支度をしていた 「...」 「何ですか?」 は振り向くと、日番谷に抱きしめられた。 「…どこにも行くなよ。俺から離れるな」 「はい...私はずっと冬獅郎様のお傍から離れません」 二人は強く抱きしめあい、顔がだんだんと顔を近づける。 そんな時... 「様!!……/// し、失礼しました!」 「「…」」 二人は苦笑し、出て行ったのを確認するとキスをした。 「…好きだぜ、」 「私もです」 後々、二人は約束どおり結婚し、幸せに暮らした。 |
2008/03/06