と冬獅郎...
二人は恋仲だった。
誰がこの二人に終わりがあると思っただろうか?



始まる時は長くても、終わる時とは早く訪れる...
それは二人の仲を引き裂くかのように...





















 「おい」
 「何?」
 「今日の夜お前の家行っていいか?」
 「いいよ。珍しいね」
 「何がだ?」
 「冬獅郎からそう言ってくるのが」
 「…日番谷隊長だろ?」
 「そうだったね」














は恥ずかしそうに後ろを向いた冬獅郎に少し笑った。
恋人同士なのに名前を訂正するのは、まだ仕事中だからだ。
二人の中での小さな分別の一つなのだ。
執務室に戻ろうとした冬獅郎には口を開いた。












 「今日は仕事早いの?」
 「あぁ」
 「わかった。御馳走作っとくね」
 「頼む」
 「はい」
















は冬獅郎の後姿を見送った。
それが、冬獅郎を見る最後になるなんて思いもしなかった。

























定刻が過ぎは十番隊の隊舎を後にし自室へと向かった。
御馳走を作ると約束をしたため、キッチンに立って作っていた。



















































 「たいちょー」
 「何だ?」
 「さっきに早く帰るって言ってませんでした?」
 「これを終わらせたら帰る」
 「そんなこと明日に回してのとこに早く行ってあげればいいじゃないですか。隊長だって早く会いたいんでしょ?」
 「うるせー」
 「早くしないと、愛しい人が自分の腕の中から逃げていっちゃいますよ?」
 「テメーがちゃんと仕事すりゃ、早く終わるよ」
 「あら、もうこんな時間!アタシ修兵達と飲む約束してたのよ。お先に失礼しますね!!」












乱菊は冬獅郎に手を振ると執務室から出て行った。
取り残された冬獅郎は再び仕事に取り掛かる












 「たくっ...」










そして、自分の両手の平を見た。










 「消える…俺の手の中から?……ありえねーよ…あいつは…って何考えてんだ、俺…」













我に返った冬獅郎は再び書類を見る。
それは直ぐに終わり、と約束した通り早く帰れそうだった。
隊舎を出た冬獅郎は帰路に着く。
そして、の家に向かう途中の花屋により、の好きなチューリップを買う。
それは、黄色・赤・白の色をした花びらをもつ綺麗なチューリップ
それを手に家へと向かう
向かう途中冬獅郎はいつもと違うそんな気がした。
急いで家を向かい中へと入る



















 「!」

















と呼んでも彼女の声は聞こえない。















 「!!」












家の中をあちらこちらと探すも何処にもいない。
彼女の霊圧自体もかすかに残っているだけで、強くは感じられなかった。
必死での霊圧を探る
だがそれが感じられない。




 俺と入れ替わりにいなくなったってことか!?
 どこに行った…







家を出てかすかに残る霊圧を冬獅郎は付けた。
その先に見つけたもの
それは、が目の前で横たわっているというもの
ピクリとも動かずにその場に横たわっている。

















 「おい、...うそ...だろ?」
 「どないしたん?こんなところで...」
 「…市丸――!!」
 「ボクを殺すん?やめとき。それにや、が斬魄刀を抜きおったから僕も抜いただけや」
 「テメー!!」
 「大人しゅうしてくれはったら死なへんかったんかもな...」
 「に何をした...」
 「大したことはしてへんよ。ただ、のことが好きやゆうただけや。
  十番隊長さんよりボクの方が一緒に居てあげられるとも言うたんやけど、断られたんや。
  しかもや、斬魄刀持って逃げたんや彼女。席官にも入っておらん奴が斬魄刀なんて持ち歩いたらアカンやろ?
  注意したろう思たんやけど、その前に斬魄刀開放してもうたから、仕方なかったんや。
  ボクを殺そうとして、自分が死んだ...バカやな〜」
 「テメーは殺す...市丸!」










冬獅郎が斬魄刀を抜こうとしたが、誰かによりそれを阻止された







 「日番谷君、こんなところで刀を抜くのはよくないよ...この件は中央四十六室にまかせようじゃないか…」





冬獅郎を阻止したのは、藍染だった。





 「藍染…放せ」
 「ここで刀を抜いては君も処罰が下される...そんなこと彼女は望んでないはずだ」
 「五番隊長さんの言うとおりや」
 「今は君を埋葬してあげるのが先じゃないかい?」
 





冬獅郎はの方を見る。
動かなくなった彼女の姿を見ると、それはただ寝ているようなそんな感じ...
死んだなんて思えない...いや、思いたくなかった。










 「...」







冬獅郎はのところに行き抱きかかえた。




 「ごめんな...お前を守ってやれなくて...」
 
 「せや、十番隊長さん一つ言っとかなアカンことがあんのや」
 「…」
 「が最後に言った言葉や、『冬獅郎...ごめんなさい』」











冬獅郎は瞬歩を使ってその場を去った。
その日の夜、隊葬が行われた。
隊葬が終わっても尚、冬獅郎はソコにいた
そのまま空は朝を迎えていた。











 「隊長!」
 「…」
 「もしかして、一晩中ここにいたんですか?」
 「…昨日はと一緒にいる約束をした」
 「…」
 「松本...」
 「はい」
 「仕事に戻るぞ」
 「…はい」













また来るぜ...
またお前に会いに...
だからお前も俺に会いに来いよ...
そしたらずっと一緒にいてやる...









 

2008/03/06