「先生、あなたがやっていることは犯罪です。わかっているんですか!?」 職員会議では女のキンキンした声が響いていた。 その声の主は伊部だった。 「フム、日番谷の両親はこのままでは先生を警察に突き出す とそう言っておるのじゃ。わかるな」 「わかりません」 は何を言われようが引く気がなかった。 警察に突き出すなんてこと本当にするかもわからない。 取り敢えずは、ここ学校側としては警察沙汰にはしたくはないだろう だが、ここで引いたら意味がないということはが一番わかっていた。 ここまで折角やったものが無意味になってしまう。 そしたら余計に冬獅郎が苦しむ結果になってしまうことも... 「校長」 修兵が手を上げた 「どうした檜佐木」 「先生は日番谷の親に連絡を取って迎えに来るように行ってるんですよ。 それなのに来ないのはが悪いのではなく、親の方が悪いんじゃないんですか?」 もっともらしく聞こえるような修兵の意見... だが、こんな世の中ではもう通用しない 数十年前ならそれで済んだのかもしれない だが、保護者の意見が最優先されているのが教育現場の現状なのだ。 生徒が教師しかも担任に拉致されたなんてことになったら大事だ。 「校長、私は日番谷の親と話しがしたいです。 話ができるなら私は日番谷を返します。 別に身代金が欲しいとかそういうのじゃないので。 ですが、直接話しを出来ない...というのであるならば 警察に捕まろうとどうなろうと私は日番谷を返す気はありません」 「あなた!何を言ってるか自分でわかっているのですか!?」 伊部のキンキン声には誰もが嫌になっているであろう だが、伊部の声のトーンは上がり、そして声のボリュームを大きくなる。 ついでに言うなら顔も真っ赤なのだが... 「あなたよりは、自分のやってることを理解してますけど? 自分で仕出かしたことの後片付けくらい自分で出来ます。 校長、親を呼んで頂けませんか?」 「返したところで、あなたはこの学校に残れるなんてこと絶対にありえないですよ。 ボイコットの問題だって残っていますからね」 「別に私はクビという言葉に怯えていません。 あなたと違って辞める覚悟は勤務し始めた当初からあります。 ボイコットよりも日番谷の問題の方が重要だと思いますけど...」 「そういうことを言っていられるのも今のうちよ」 「自分の身ばかりを心配している人にはわからないことだと思いますけど」 は伊部を可哀想という目をして見た 「、やめとけ」 海燕がを宥めた。 その頃教室でも騒ぎになっているわけで... 「意味わからないんだけど…」 女子に囲まれるかたちとなる日番谷 「別に意味をわかろうとする理由はねーだろ。 関係ねーことに一々首を突っ込むな」 冬獅郎は至って冷たい態度を取っていた。 「なんで、担任のとこで一緒に住んでるのか聞いてるだけでしょ」 川島が聞く 「住んでねーよ」 「じゃー、何で居るのよ」 「居ちゃ悪い理由でもあるのかよ」 「悪いってか、あの担任だよ?脅されてんの?」 「何かされたとか?」 川島・山本が聞くが、日番谷は眉間に皺を寄せるだけだった。 その時丁度戸を開ける音が聞こえた 「日番谷、ちょっと来い」 そう言い顔を出したのはだった。 「ちょっと、あんた冬獅郎に何か用あんの?」 女子が一斉に睨む 「別にあんたらには用ないよ。日番谷に用あんの」 川島が数歩に近づく 「あんたこんなことして良いと思ってんの?」 「じゃー聞くけど、あんたに何が関係あんの? 私がいつあんたに迷惑かけた?」 「…」 「言えないってことは、関係なければ迷惑すらかけてないってことでしょ。 部外者が話しに入ってくるな。余計ややこしくなるだけだ。 友を思うなら口を出すな。行くぞ日番谷」 「教師失格ね、あんた」 「教師が失格でも人間が失格じゃなきゃまだ良いんじゃないの? だいたいつるまないと喧嘩一つできないお子様が随分と偉い口叩くんだね」 の口調は凄くタンタンで冷たかった。 いつも冷たく突き放す癖のあるだが、いつも以上に冷たかった。 「あんたなんか直ぐここから追い出すこと出来るんだからね! 自分の立場考えなさい!」 山本がそう言った。 当たりは少し静かになった。 こう言えばが謝るとでも思ったのだろうか? そんなこと、コノ人には関係のないことだ 「追い出す?別に追い出して困るの私じゃないし。 追い出したきゃ追い出せばいいじゃん。 でもそれって、あんたの力じゃないでしょ? 人の権力使ってことを丸く治めた気でいるのもいい加減にしなよ。 ちゃんと理解くらいしてると思ってたけど、してないみたいだから教えてあげる。 あんたらは権力もなけりゃお金もない只の甘えてるガキ。 担任追い出したから自分は偉い? そんなのバカでもやらない。取り敢えず賢い奴はやらないね。 気に食わないならその担任の様に自分がならない努力をすればいい 私が嫌いなら賢くなって見返せばいい そのくらいわかるんじゃないの? 序に言っとくと、このままあんたらがボイコット続ければ私はあんたらの望み通りクビになる。 それで、困るのは私じゃないこともわかるよね? それと私はこのままクビでも構わないんで!悪いけど、時間ないから一時間目は自習!!」 というと、は冬獅郎を連れて教室を出て行った。 その後暫く教室は静まり返っていた。 「おい、どこ行くんだよ」 「今親に来てもらったから、直接4者面談」 「...来るわけねーだろ」 「いや、ついさっき来たんだよね。ちょっと怒鳴ったから」 は苦笑いを浮かべた ほんと、とことんやる奴だ と思い知らされる冬獅郎だった。 コン コン 「「冬獅郎!!」」 部屋に入ると冬獅郎の両親が声を揃えてそう言った。 日番谷はというと浮かない顔をしている。 「冬獅郎、何もされなかった?大丈夫?」 「・・・あぁ」 心配そうに聞いたのは母親だった。 取り敢えず、日番谷を椅子に座らせ異例の四者面談が始まった |
2008/03/05