海燕さんの鞄ないや
帰ったのかな?
具合悪そうだったしね。
仕事終わったら様子見に行こうっと
あっ、修兵さんも誘った方が楽しいかな〜♪
















放課後...




 「修兵さん」
 「どうかしたか?」
 「海燕さんの家に行こうと思ってるんですが、一緒に行きません?」
 「ワリ、俺これから部活なんだよな。試合ちけーから行けそうにねー」
 「それじゃ、仕方ないですよね」
 「海燕に早く直せって言っといてくれな。あいついねーと部活大変だしな」
 「わかりました」
 「そんじゃ、宜しくな!!」











修兵は職員室を出るとそのまま体育館へと向かう。







修兵さんも忙しいんだろうな。
よぉ〜っし!!
早く治るように何かお土産持って行こうっと










は見舞い品と今夜の自分のおかずを買い、海燕の家へ行った。
といっても、海燕の家には初めて訪れる。
前に教えてもらった道順を頭の中で確認し、道を進んで行く。
すると、【志波】と表札がかかっているマンションを発見した。











 「あった!!元気かな〜?」






病人故に元気な訳がないのだが...
はインターホンを押す…
しかし人が出てくる気配は無かった
アレ?
寝てるのかな?
折角、お土産持ってきたのに...
ドアノブに引っ掛けて...ってそんなわけにもいかないか…
もしかしてドア開いてる!!
な〜んてそんな都合の良いこと…











は半信半疑でドアノブに手を掛けてユックリと回しながら押していく。
すると、扉はユックリと開いていった。












あっ!
開いた!!
ラッキー♪









なんて思って開けるとそこには黒い物体が横たわっていた。
今へと続く廊下にしては邪魔くさいところに大きな物が置いてあるな〜
なんて思っているとそれは人間で...














 「ぎゃー!!海燕さん!?」








はその物体が海燕だと気付くと、玄関に荷物を放り出し駆けつける。
死んだように横になって動かない海燕に、体を揺さぶりながら起そうとする。













 「海燕さん!!大丈夫ですか!?って大丈夫なワケないか...。
  突っ込んでる暇じゃない!!海燕さん!海燕さん!!」
 「…、うるせーよ…」






力の無い顔で海燕はに笑いかける。






 「海燕...さん...」
 「お前泣いてんのか…?」
 「なっ、泣いてないです!まさか海燕さんが死んだなんて思ってないです!!」
 「人を勝手に殺すんじゃねーよ…」
 「呑気に喋ってる場合じゃないですよ!起き上がれます?」
 「あぁ…」









は海燕に肩を貸し立たせる。







 「ベッド何処にありますか?」
 「あっちだ…」






ベッドのあるところを指で示す。
は示された部屋の扉を開け海燕をベッドに横たわらせる。








 「寝てて下さいね!今ホットミルク作ってきますから!」
 
 「…」
 「はい?」
 「サンキューな…」
 「いいえ」











はリビングへと移り、ホットミルクを作る。




きっと海燕さんご飯食べてないよな〜。
風邪にはやっぱりお粥だよね!!
久々にミルク粥でもつくろうかなv












 「海燕さ〜ん、ホットミルクお待ちぃ!」







が片手にホットミルクが入ったコップを持ち、もう片方には水で塗らしたタオルを持っていた。






 「熱いので気をつけて下さいね」
 「おぅ」
 「ご飯食べました?」
 「いや、食ってねー。食欲ねーし」
 「ダメですよ!!風邪のときこそ食べないと野垂れ死にますよ?」
 「…死なねーよ」








は苦笑すると海燕の頭に水で濡らし冷たいタオルを乗せる。








 「寝てて下さいね。お粥作ってきますから」
 「…あぁ」












たくっ...
かっこわり...
でも、サンキューな
お前が来てくれなかったら俺今頃本当に死んでたかもな...
















 「海燕さ〜ん!お粥、できましたよ」
 「…」
 「あっ...ごめんなさい寝てましたよね…」
 「いや...」
 「暖かいうちにどうぞ♪暖かいというより熱いですけど」
 「あぁ…」
 「…」
 「…」
 「食べないんですか?」
 「食欲ねーって言ったろ」
 「なんとしてでも食べさせねば...」
 「無理することはねーだろ…ι」










はスプーンですくったお粥を自分の口元に近づけ「フーフー」と熱を冷ます




 「はい、アーン♪」
 「!?」
 「早く食べて下さいよ」
 「…」





海燕は仕方なく口を開く。
がそんなことをしてくれるとは思っていなかったのだが...
そして、そんなことをされて食べない訳にもいかないので、それにかぶりつく。







 「どうですか?」
 「うめーよ」
 「良かった。久しぶりに作ったので、どうかな?って思ってたんですよ」









味をしめた海燕は口を開けて待った。






 「…早くしろよ」
 「…今日だけですからね」
 「おぅ」
 「はい、あ〜ん」








海燕はに食べさせてもらうことによりお粥を食べる。
半分くらいしたところで海燕は「もういい」と言った。








 「もういいんですか?」
 「あぁ、後で食う。お前飯は食ったのか?」
 「いえ、まだですよ」
 「腹減ってんだろ」
 「ま〜…そりゃー…ねっ?」





少し恥ずかしそうにが言う。










 「本当は海燕さんと一緒に食べようと思って持って来たんですよ」





何処からかお盆が出てくる。






 「わりーな。先食っちまって」
 「いいえ。あの、ここで食べていいですか?」
 「いいぜ」
 「よっし!!いただきます」








は美味しそうにご飯を食べる。
そんな幸せそうに食べるを海燕は眺めていた。
さっきよりは熱が下がり、楽になった。








 「あっ!海燕さんコレお薬です」
 「…あぁ…」





海燕は渋々それを受け取り水で喉に流し込む。
はご飯を食べ終えると、後片付けをする。
それも終わると、海燕の看病をしようと海燕のいる部屋へと戻った。









 「熱下がりました?」
 「さっきよりはな」
 「ホントビックリしましたよ!!廊下で倒れてたときは」
 「水取りに行こうとしたらな...意識なくなった」
 「今日来て良かったです」
 「俺も助かったぜ」
 「そうだ、修兵さんもお大事にって言ってました」
 
 「そうか。アイツ、今日部活大変だっただろうな」
 「それじゃー、尚更早く風邪治して下さいよ!」
 「そうだな」
 「伊部先生が寂しい顔してます」
 「…それはどうでもいいな」









は苦笑した。










 「私も修兵さんも海燕さんいないと寂しいですし。私これくらいで帰りますね。
  そうした方がユックリ休めるでしょうし」

 「…」











ベッドの淵に座っていた私が立ち上がろうとした時、急に腕が引かれた。
私の体は真っ直ぐに後ろへと下がる
そして、何かにぶつかって、私の体は何かに固定された。






 

 

最終更新日 2008/03/05