「いや...わかんねー」 「私小さい頃から両親が傍に居てくれたことないんですよ」 「両親どっちもいるのにか?」 「はい。二人とも仕事人間ですから。どんなに辛いことあっても私一人で 家に帰ってくる時はあるんですけど、帰ってきたと思ったら寝る時でした」 「確かお前兄貴いるっていってなかったか?」 「…。実の兄じゃないんですよ。私一人っ子だから」 「養子かなんかか?」 は首を横に振った。 「近所に住んでいた年上の人です。でも、凄く優しくしてくれて、お兄ちゃんって呼んでたんですよ。 でも…両親のせいで私はその人から引き離された...」 「…。付き合ってたのか?」 「まさか!そういう関係じゃないですよ。ただ、私の両親は人間失格なんですよ... あいつは...あいつらは私から全てを奪った!だから私は許さない...」 の目には怒りそのものが現れていた。 「おい、...お前落ち着けよ?」 怒りに震えるの手を押さえた。 は昔のことを思い出していたのであろう。 海燕は深く聞くのをやめた。 「暗い話はここまでにしようぜ?」 「…ごめんなさい…」 「気にすんなよ。俺が話し始めたことだしな...それと、悪かった」 「えっ?」 「お前に辛い記憶思い出させちまったみてーだな」 「そんなことないですよ!」 「んで、お前どうすんだよ?」 「どうするって、居間かりますよ?」 「本気で泊まる気なのか!?」 「そりゃそうですよ。夜中に熱で魘されて隣近所の人が 『何かココの家おかしくありません?もしかして、出るのかしら』 なんてことになったら大変ですよ!!」 「いや、それ大した大変なことじゃねーぞ…。」 「…。とにかく、心配しないで下さい!夜中に誰か…例えば伊部に魘されることがあっても私がいますから!!」 「何で伊部なんだよ!!」 「まー、細かいことは置いといて、おやすみなさ〜い」 「おやすみ…っておい、!!俺伊部のこと好きじゃねーぞ!!!」 俺が好きなのは...お前だけだ...... 海燕はそのまま眠りにつく 翌朝、海燕が目を冷めると良いにおいが部屋の中を漂っていた。 「おっはようございま〜す♪」 が扉を開けて入ってくる。 片手にはお盆を持ち、そのお盆の上には朝御飯が乗っている。 もう片方の手にはホットココアが入ったマグカップを持っていた。 「おぅ、おはよう」 「気分どうですか?」 「お陰様でスッカリいいぜ」 「それは良かったですね!!」 「サンキューな」 「いえ、どういたしまして。それと、朝食ですよ!一応消化良いものにしたので食べて下さいね!!」 「おっ、美味そうだな」 「「いただきまーす」」 は海燕が寝ているベッドの端に座り、二人で食べる。 「やっぱり、一人で食べるよりも二人で食べた方美味しいですよね!」 「そうだな」 些細な会話をしながら朝食を食べ終えると、は片付けを始める。 片付けも終わりは海燕が寝ている部屋を再度訪れる。 「海燕さん、熱無いみたいですけど今日は大事取って下さいね!って何やってるんですか!?」 海燕は寝巻きの上を脱いでワイシャツを着ようとしていた。 「あっ?熱ねーから学校に」 「人の話聞いてました!?」 「大事取れって奴か?」 「そうですよ!」 「俺の体が大丈夫だって言ってんだから大丈夫だろ」 「それ、当てにならないので却下です」 「はぁ!?お前俺の体の何知ってんだよ!?」 「海燕さんの体がどうなのかは知りませんけど、人間の体の構造上変に動くと悪化します。 折角治ってきてるのに、また倒れますよ?」 「んなこともう一生ねーから安心しろ」 「ダメですってば!」 そんなやり取りを繰り広げている時、ピンポーンとインターホンが鳴る。 しかし、寝室で騒いでいる二人には聞こえなかった。 「おーい、海燕いねーのか?」 一人の男の人が玄関のドアを開ける。 そして、玄関に置かれている靴を見ると、男の物とは思えない靴が一足置いてあった。 「ダメ!!絶対駄目!大人しく寝てて下さい!!」 「大丈夫だっていってんだろ!」 「…おっ…お前等…何…」 「「へっ(あぁ?)」」 二人が振り向くと、そこには修兵の姿。 その一人の男を見ていると、直ぐ後ろから三人の見たことのある人達が入ってきた。 「修兵、急に止まってんじゃねーよ。…あっ?・・・。」 「「・・・。」」 恋次、一護・冬獅郎が入ってくる。 そして、そこに来た誰もが目を疑った。 この今のと海燕の体勢に… が海燕をベッドに押し付けているそんな体勢... しかも、海燕の格好は上半身裸というなんとも言えないそんな格好 「お前等...帰るぞ」 修兵が後ろを向き生徒にその姿を見せないように部屋から出そうとする 「ちょっ...!?」 「んだよ!?」 「…あいつ…じゃねーか?」 慌てて部屋から出そうとする修兵に冬獅郎が冷静にそう言った。 「「「!?」」」 海燕の上にいる女性がだと気付かなかったのだ。 入ってきてそうそうこの状況を受け入れることが出来る者はいなかったということだ。 「えっ?何??」 「「「つーか何でがココにいんだよ!?」」」 「が俺の看病してくれただけだぜ?」 「何で看病すんのに、ベッドの上に二人がいんだ?しかも、上半身裸だし…」 冬獅郎が海燕の姿を見てそう言う。 「それは海燕さんが今日がっ」 「これも俺の看病」 「「「どこが看病だ!?」」」 「そんで、何でがここにいて、海燕を押さえつけてんだ?」 冬獅郎が腕を組んで聞く。 他の人も冬獅郎の真似をして、腕を組み少しだけ偉そうに仁王立ちする。 「それは、昨日の帰りに様子見に来たら、海燕さん玄関でぶっ倒れてて、一晩看病して、 朝、熱測ったら熱ないから学校に行こうとしている海燕さんを力ずくで止めていたところ、 あんたらが入ってきて、そんで日番谷に尋問されている状況下にあるんだけど」 「まて...それはお前...男の部屋に泊まったってことか?」 修兵の額からは嫌な汗が出る。 そりゃ、女が男の部屋に泊まるなんてこと... ましてや、自分の好きな女が他の男のところに泊まるなんてそんなこと... して欲しくないと思うのは一般論だろう。 「はい」 「「「お前なんていうことしてんだ!?」」」 「何ていうことって...看病してただけだし」 「何かされなかったか!?_」 恋次がベッドに近づきに顔を近づける。 「…ι。 何かあるわけないでしょ」 「オメーら俺を疑いすぎなんだよ」 「「「この状況見て疑わねー奴がどこにいんだよ!!」」」 「もう、皆うるさい。ここに病人いるんだから静かにしなよ」 「そーだ、そーだ」 「海燕さんも静かに寝てて下さいね」 「…わかったよ」 その様子を詰まらないと言いたげに見る4人 そんな4人を見て海燕はニヤリと笑った。 「ゴホッゴホッ...」 「大丈夫ですか!?」 「あぁ…ゲホゲホ」 は海燕の背中を擦ってやる。 「やっぱり、まだ治ってないんですよ!絶対安静、決定ですね!」 「おい、遅刻しちまうぜ」 一護が時計を指さして言う。 「あっ、ヤバ!!帰りに寄るので大人しくしててくださいね!」 「おぅ」 4人と一人が部屋から出て行く際に、海燕は男4人に睨まれたのはいうまでもない。 海燕宅を出た5人は学校へと足を急がせる。 「なー」 の隣を歩く修兵が尋ねる。 「何ですか?」 「海燕の家に本当に泊まったのか?」 「そうですよ。何か心配してるみたいだから言いますけど、本当に何もなかったですよ。 私リビングで寝ましたし。」 「いや、別に心配はしてねーよ。アイツはお人よしだからな...人の嫌がることはぜってーしねーし」 「海燕さんのこと詳しいんですね」 「そりゃーな、腐れ縁って奴だしな」 「そうなんですか。でも羨ましいですよ。私全然親友って呼べる人いないですからね...」 「おい、」 修兵と放していたは、少し後ろにいる恋次に話しかけられる。 「どうした?」 「もし俺らが風邪引いたらどうする?」 「お見舞いに行ってあげる」 「じゃーさ、タイヤキ持ってきてくんねー?」 「タイヤキ!?まー、いいよ」 「お前何予約してんだよ!!」 一護も話に入ってくる。 「黒崎は、苺でいいのか?」 「「「「・・・。」」」」 「「「プハハハハハ」」」 一護を除く他の人が一斉に笑い出す。 「テメーなんか来なくていい!#」 「ごめん、ごめん」 怒る一護とそれを慰める。 皆で通ういつもの通学路 海燕さんがいればもっと楽しいのにな、と思う そして、他の人は が看病してくれるなら、風邪を引いても良い と思っていた。 |
最終更新日 2008/03/05