「出てくるまでココにいるんじゃなかったのかよ?」










中から一護が姿を現した。












 「開けてくれると思った。入っていい?」
 「あぁ...」








が中へ入り、辺りを見渡す。








 「部屋綺麗だね。エロ本とかないの?」
 「あるわけねーだろ」
 「ほんとに?ベッドの下とかは」
 「ねーよ」
 「なんだ」
 「何で残念そうなんだよ」
 「いや、ホラ!男子高校生の部屋には必ずあるもんでしょ?10冊以上は」
 「…悪かったな」
 「別にそういう意味じゃないんだけどね。ってっちょっと...」











は一護の顔を見て動きを止めた。
一護の顔に手を近づける。









 「ねー…どうしたの?」
 「…転んだ」
 「嘘いわないでよ...昨日何あったの?」
 「……放課後呼び出されたんだよ」
 「誰に」
 「知らねーよ」
 「……高校生?」
 「あぁ」
 「どこの高校?」
 「知らねーよ。制服自体見たことなかった...」
 「そっか…。一人で行ったの?」
 「他の奴巻き込むわけにいかねーだろ」
 「…でも、あんたならどう思う?」
 「はぁ?」
 「もし阿散井が黙ってやられに言って、『何で俺達に言わなかった!!』って黒崎が言う。
  そしたら阿散井は『他の奴巻き込みたくなかった』って言ったらどう思う?」
 「...それは」
 「仲間なんだからちゃんと言えよ!って思うんじゃない?あんたも一緒にやられに行ったんじゃない?」
 「…」
 「阿散井や日番谷だってあんたと同じ気持ちなんだよ。一人で無理することないでしょ?
  あんたには良い友達がいる。そいつら信じてやんなよ。
  まず人は信じることから始まるんだよ。そうして、相手から信じられる...
  それがなきゃ親友なんて言葉生まれないんじゃない?あんた等の関係凄く羨ましい」
 「にもいんだろ?」
 「…私は人を信じてなかった。だからあんたにこんなこと言う資格なんてないんだよね
  偉そうなこと並べてごめんね。」
 「それは昔だろ?今は俺らを信じりゃいい」
 「…そうだな。励ますつもりが励まされてどうすんだ私…」
 「…サンキューな」
 「感謝されるようなことはしてないけどね。あんたらには明るく居て欲しい
  私が出来なかったことして欲しいから...」
 「…
一護はの前に立った。
そして、そのままユックリとを抱く。
ふわりと漂う一護の香り…
それはこの学校に来て二度目のことだった。












 「お前にも明るく居て欲しい...何でもかんでも抱えすぎなんじゃねーのか?
  俺らに隠し事すんなって言うなら、お前もちゃんと話せよ...
  お前が俺らのこと理解してくれたみてーに、理解してやっからよ。何でもいいから話せ...
  俺はお前のこと全然知らねーんだぜ?」
 「黒崎?」
 「俺さ...お前の力になりたい。昔何があったか知らねーけど、今のお前が…」
 「…」
 「…好きだ」
 「!?」











私の顔は真っ赤だろう...
体のどこからか熱が上がってくる...
胸は高鳴り、自分でも体がどうなってるのかわからない...
わかるのは黒崎の言葉にドキドキしてしまう自分の姿...だった














 「…黒崎?」
 「……名前で呼んでくれた方が嬉しいんだけどな」
 「……い、一護?」
 「おぅ///」











二人は暫くの間顔を合わせていた。
少しずつだったが確実に、と一護の顔の間は縮まっていた。
付いたかついてないかわからないような、触れるだけのキスをして少し放し、そしてまた少しだけ先程より長くキスをした。







 「…ワリ///」
 
 「…」
 「お前は別に俺のこと好きじゃねーのにな…」











一護とのキスは優しかった...
謝られることなんてきっと何もないんだ
私だって拒むなら拒めたはず...
でもそうしなかった
理由はわからないけど、私の体は彼の唇を受け入れたのだ...
唇にはその感触しか残っていない...
私は生徒と...何をしているんだろう...
そう思った。
嫌じゃないと思う自分がイヤだ
だけど、嫌じゃないのは事実だった














 「一護のことは好きだよ...でも、それが恋愛感情なのかどうかはわからないんだ...」
 「…そうか」
 「遠い昔に置いてきたから...その感情......いらなくなって捨ててきた。もう拾えないところに...」
 「…
の目からはめったに見せないものが溜まり、頬を伝っていた。










 「…拾えるさ……が拾えねーなら俺が拾って来てやる。恋次も冬獅郎も一角も、修兵も海燕も皆
  で探すさ。そうすりゃ早く見つかるだろ?」
 「…一護」


 「だから...悲しい顔すんなよ」












一護は再びキュッと抱きしめた。







この温かい温もり...
再び思い出せるかもしれない....
私の恋心...
でも、思い出すよりこの温もりに今は浸っていたい…
冷たい私の心を癒してくれそうだから...
皆捨てていった私を必要としてくれているみたいで
放したくないから...
だけど...
優しくしないで...
私が私じゃなくなりそうで、怖いから…
だから、その手を...













 「ってさ、本当に付き合ってる奴いねーの?」
 「疑うの?」
 「いや…お前性格キツイとこあるけどよ、何だかんだでいいとこあるし、美人の類だろ?」
 「あ〜らまー、お世辞を言っても試験の問題は簡単にならなくてよ?」
 「…んなこと頼んでねーよ」
 「いないいない。強いて言うなら今、ここにいてこう抱かれてる一護くらい?」
 「///」





一護はバッっと手を放す。
彼の顔は赤い。
今は一護というよりは苺といった方が正しいのかもしれない








 「純粋だね〜」
 
 「うるせー///」
 「でもね、あんたに抱かれるの何だかんだで二回目だよね」
 「そうっだたか?」
 「そう。私の辛いときに皆私の傍に居てくれるんだよね。どうしてだろうね...
  辛いなんて一言も言った覚えないのに...どうして皆気付くんだろ…」
 「お前わかりやすいんだよ」
 「わかりやすい?」
 「顔に出てんだよ。一人にしねーでって、助けてくれってな」
 「それってわかりやすいってことだよね?私もまだまだ修行が足りませんな」
 「何の修行だよ…ι」















は自分の頬を軽く引っ張り一護を見る。









 「これで表情わかんないよね!?」
 「ぷっ…お前そこまでやるか?」








一護の笑った顔には安堵した。








 「やっと笑ったな」
 「はぁ?」
 「私は二日ぶりにあんたの笑顔見たよ」
 「そうか?」
 「そう。人は何か問題抱えてるときってのは心から笑えないもんだからね。
  どう?私の変顔見て元気でた?」
 「…あぁ」
 「あんたに手出した連中なんか言ってた?」
 「いや...」








一護はから視線を外し、斜め下を見た。
その表情からは絶対に何かあると確信した。











 「ほら、いいなよ。楽だよ?」
 「…」
 「兄ちゃん、言った方が楽だって。今ならサービスしとくぜ?」
 「お前はヤクザか!?」
 「んで、何言われた?」
 「本当に何も言われてねーよ」
 「本当だな?」
 「…あぁ、本当だ」
 「…わかった。私は一護を信じる」
 「…」
 「私そろそろ帰るわ」
 「送ってく」
 「バーカ。また外出てなんかあったらどうすんの?明日の朝迎えに来るから。
  それと、帰りも送ってあげる。なんとタクシーだぞ!!何この贅沢!!!羨ましいねぇ〜」
 「…ι何気に楽しそうじゃねーか?」
 「そう?いや〜ほら遠足みたいじゃん!」
 「どこがだよ…つーか遠足でタクシーなんか使わねーだろ」
 「そんな夢のないこと言わない」
 「タクシー使う方が夢ねーだろ!!」
 「そんなことないさ!黒タクシーはちょっと高級じゃないのさ!!」
 「誰も高級とか言ってねーから...」
 「まっ、いいや。明日学校行ったら大変だろうけどガンバ」
 「…あいつらにだけ話すよ」
 「それが一番良い考えだね。ちゃんと休んで明日元気に学校に来いよ」
 「あぁ...」










は一護に近づくと背伸びをし、オデコにキスを落とす。











 「!?」
 「おやすみ...」
 「…おやすみ。、サンキューな」








ニコッっと笑うとは一護の部屋を出る。
リビングに降りたは、一心に丁寧に挨拶をして黒崎家を出る。











俺の家を出て帰るアイツを部屋の窓から見ていた...
今日俺が
アイツにしたこと...
後悔はない。
それにちゃんと伝えれた俺の気持ちを...
アイツには届かないのかもしれねーけど、それでもいい
俺はが好きだ
だから、お前を巻き込みたくねーんだよ...
お前だって大切な奴を問題ごとに巻き込むの嫌だろ?
わかってくれるよな?

 

 

2008/03/05