「一護大丈夫だったのか?」 部活顧問の修兵が心配そうに聞いてくる。 もう一人の顧問はというとまだ授業 いや、普通の先生ならば授業中だろう…。 どうして早く戻ってきたか理由を聞かないのは、が早く授業を終わらせ戻ってくることを知っているから。 と仲良くしていれば、なんとなくわかってくる 「あー、うん大丈夫みたいですよ。それに私もいますからね!!」 「そうだな、お前いれば安心だけどよ」 「よ?」 「警察沙汰にはなるなよ?」 「アハハハ...って一回もなったことないですよ!!」 「未遂はあんだろ?」 「冬獅郎のことですか?」 「おぅ、冬獅…ってお前いつから名前で呼ぶようになったんだ!?」 「HR終わった時に、恋次と冬獅郎に言われたんですよね」 「(俺なんかは前から名前で呼ばれてるけどな)」 「修兵さん」 「あっ?」 「今日の夕方から雨降るかもしれませんよ?」 「こんなに晴れてんのにか?」 「はい。だって、今日私のクラスでボイコットしてた連中が授業に出たんですよ!!こりゃ雨も降るよ」 「マジか!?珍しいことも起こるもんだな」 「あいつらも自分の成績が怖いってことですよ!」 「来年受験生だしな」 「そうそう」 コン コン 「失礼します」 一人の生徒が職員室に入ってくる。 のクラスの生徒だった。 「、どうした?」 は修兵との話を中断する。 「ココ教えて頂きたいんですけど宜しいですか?」 「へ〜、これ塾の問題かなんか?」 「はい、塾の予習です。昨日から考えてるんですがわからなかったので、聞きにきました」 「そうか、そこに座って」 と示したのは海燕の椅子。 はそこに腰掛ける。 「これはね、この辺とこの辺の...」 が生徒に説明している間、暇になった修兵は詰まらないので一緒に聞いていた。 数分すると、終わったらしく、生徒は礼を言って職員室から出て行った。 「お前教え方上手いな」 「そうでもないですよ。修兵さんの専門はなんですか?」 「俺は体育。お前のとこももってるだろ?」 「そうですけど、他の教科は?」 「基本的に何でも出来るぜ。海燕も何でもできるしな、面白くねー」 「何でもって…凄いですよね」 「だって結構何でも出来るじゃねーか」 「私、理科系統は好きじゃないんですよね〜」 「理系なのにか?」 「そりゃ、免許は持ってますよ!でも、嫌いです」 「教員試験時点数悪かったのか?」 「そんなことはないですよ。きっちり満点はとりましたから」 「(どこが苦手なんだよ)」 「解剖とかほんと勘弁してもらいたかったですよ…」 「ありゃグロイからな…」 「あら、先生またこんなに早く職員室に戻ってきて...生徒全員いなくなったんですの?」 と嫌味をいちいち言うのは伊部… 職員室に入ってくるなりそう言った。 海燕がいるときは、まっさきにそっちに口を聞くのだが... まだ授業終わりのチャイムが鳴っていない今、標的になるのはなのだ 「あ〜ら、伊部先生、先生こそ今日はお早いこと」 「私、今日の授業のノルマは終えましたの」 「あら、随分とお時間がかかること」 「あなたみたいに雑に教えておりませんので、多少時間がかかりますの」 「あなたの方が雑な教え方だと思いますけど...」 「あら、何か?」 「いいえ。それにしても、私の顔見るなり嫌味しか言えないとは、なんて性格ひん曲がってるのかしら?」 「なっ!?あなたみたいな教師がいるから学校全体の規律を乱すのです」 「私がいつ規律乱したって言うんですか?」 「毎日のことで何時なんて断定できませんことよ」 「ケバイ化粧しやが…」 「おぅ、!!お茶入れてくれねーか?」 そこに姿を現したのは海燕だった。 は口を抑えられた。 海燕は朝っぱらから伊部のキンキンした怒り声など聞きたくないのだ。 「入れて…くれねーか?」 「…」 はただコクンと頷いた。 「あら、志波先生。こんな子に入れてもらわなくても、私がいれましてよ!」 「いや……」 は小声で海燕に 「断っていいんですか?泣いちゃいますよ?あの人…」 凄く引きつった笑顔で海燕は伊部に「お願いします」と答えた。 すると、鼻歌混じりにお茶を入れにいく伊部 「はい、志波先生vV」 「…ありがとうございます」 「あっ!私次の授業の支度しなきゃ!!!」 「…俺も」 が立とうとすると、海燕に伊部から見えない角度で腕を捕まれた。 すると、それに反射し、は修兵の腕を掴む... 誰も伊部から逃げることを許されていないといえるこの状況… きっと一番辛いのは海燕なのだろう… 何かを思い出したかのように伊部が「ちょっと待ってて下さい」と言って職員室から出て行った。 「海燕さん手、放して下さい...」 「断る…俺を置いて逃げる気だろ…」 「やだな〜海燕さん。だから次の授業の準備…」 「お前は次授業ねーよな?」 「…それが、天からさ屋上で授業やれって囁かれて…」 「ねーんだな」 「…ありませんけど、伊部LOVELOVEパラダイスに巻き込まれるのは御免ですよ。ねっ、修兵さん」 「つーか、お前手放せ…俺は授業だ」 修兵は未だ掴まれている腕を見て言う。 掴まれている自体については文句はない。 むしろ嬉しいだろう。 だが、伊部と…となると話は別なのである。 「修兵、お前俺を裏切るのか?」 「裏切るとかじゃねーだろ!!授業なんだよ。戻ってきたら話くれーは聞いてやるよ」 修兵はが掴んでいる手を解こうと、クルリと一回転すると手が解ける。 「あ〜ズルイですよ!!私犠牲者じゃないですか!!」 「まっ、伊部の顔見て元気だせ」 「それ逆効果なんですってば!!」 修兵は「がんばれよ」とだけ言うと職員室から出て行く。 取り残された二人は無言で嫌さを表現していた。 「海燕さんここはもう、逃げるしかないと思います」 「どこにだよ?勤務中だぞ。逃げても嫌でも後々顔合わせるじゃねーか」 「今会うよりはマシなんじゃないですか?…だって伊部の顔…モザイ」 「それ以上言うな。モザイクかけた方が言いなんて言うな」 「って、言ってるじゃないですか!!」 「…にしても、おせーな何取りに行ったんだ?」 「さー。心配なら迎えに行ってあげたらどうです?喜びますよ、きっとvV」 「却下」 「それでですね」 「あっ?」 「いつまで腕捕まれなきゃいけないんですかね?」 「俺に聞くな」 「海燕さんが掴んでるんじゃないですか!!……トイレ行きたいです」 「我慢しろ」 「なっ!!膀胱炎になりますよ!!」 「看病してやっから心配するな」 「そういう問題じゃないですよ!…仕事やり辛いですし」 「逃げねーか?」 「逃げません!!」 海燕が手の力を緩めた瞬間は今までにないような俊敏さで逃げる。 それに気付いた海燕は仕舞ったと思ったが遅かった。 は職員室を出て廊下をダッシュしていた。 「(海燕さんには悪いけど...ハートだらけの伊部見るなんて耐えらんないし…?)」 が生徒用玄関のとこで立ち止まった。 走って出て行く人影があったので、よくよく見てみるとそれは一護だった。 「一護?…」 は急いでその後を追った。 職員室では海燕だけいた。 伊部が戻ってこなかったことにほっとしていた。 といっても、その安心もつかのま…なのだが 二時限目が終わり、修兵が戻って来た。 「お前伊部とどうなったんだ?」 可笑しそうに修兵が聞く 「どっか行ったきり戻ってきてねーよ」 「そっか、良かったじゃねーか。んで、は?」 「さーな。油断した隙に逃げられた」 「志波先生お待たせしました!」 と戻って来たのは伊部 苦笑いをする海燕はガクリと肩を落とした。 伊部が何を持ってきたかというと、ケーキ どうやら、今の時間を使って仕上げをしていたらしい。 「志波先生のために作りましたの。どうぞ」 「どうも……修兵も食えよ。俺じゃ食いきれねーから」 「俺は遠慮しとくぜ」 「遠慮しなくてもまだ沢山ありますの。檜佐木先生もどうぞ」 「…ι」 「食うよな!」 海燕からは一人にしないでくれオーラが流れていた。 「仕方ねー、昔の好だ。付き合ってやるよ」 「サンキュー」 と食べたくもないケーキを食べざる終えない状況になった二人は無理矢理、口の中に入れる。 「どうです?」 「「うまいですよ」」 「よかった!他の先生達にも配らないとvV」 再び消えた伊部を見て食べるのをやめた 「ヒデー、甘い」 「俺も思った...」 ノック無しに職員室の扉が開いた。 「職員室に入るときはノックくらい…」 と言おうとした修兵の言葉を遮るように生徒が修兵と海燕のところに駆け寄り質問してきた。 「一護しらねーか!!??」 それは、冬獅郎と恋次と一角だった。 「一護?知らねーよ。まだ今日は会ってねーしな」 「…は!?」 一角が聞く 「あいつなら俺を餌に逃げたぜ」 「戻ってねーのか?」 冬獅郎が眉間に皺を寄せる 「…あぁ、戻ってねー…。可笑しいなもうあれから一時間くらい経つのによ」 「お前ら、教室戻ってろ」 といったのは修兵だった。 「教室で大人しくしてられっかよ!!」 恋次が職員室から出て行こうとした。 「俺らでなんとかすっから、お前らは教室で待機だ。いいな」 「「…」」 「わかった...」 冬獅郎が二人の変わりに返事をする。 二人の教師は、昨日一護が休んだ理由と関係していると考えていた。 といっても、誰にも告げずに出て行った二人を知る人はいない 探すのは困難だった。 しかも、今は勤務時間、授業だって入っている。 「取り敢えず携帯にかけてみるか」 と修兵は自分の携帯を取り出し、の番号にかける。 Trrrrr... という音が聞こえた。 「「…」」 二人はの席を見る、机の上で携帯が鳴っていた。 「たくっ、携帯の意味ねーだろ…」 「一護に掛けてみろ!」 「そうだな」 一護にかけてみるが留守番電話サービスに繋がってしまう。 「電源切ってる」 「マジかよ…」 |
2008/03/05